2007年05月16日

さちの&THEカリスマ歌劇団 両国fourvalley 2007.5.13

このバンドは、ハッキリ言ってライブの数は少ない部類に入る。
ただし「ライブの数が少ない」という事実がこのバンドの評価を下げる事にはならないだろう。
むしろパフォーマンス先行だった所に、当初、付加価値的存在だった「音楽」が、いまやバンドの価値を押し上げるまでになったと見た方が良いに違いない。

氣志團スタイルの息子に扮した座長なかじ、そして「かあちゃん」と言えばカリスマコーラスば〜し〜。
日本最強の母子が発する、ライブ冒頭のコントは必要不可欠。
必ず出演するライブハウスの事にも触れて進行するソレには、気配りもちゃんとある。
そして「スペア木」という序盤。もはや定番。

このバンドのライブ進行や、バンドとしての佇まい、スタイルというのはかなり早くから出来上がっていた事は、ライブに行った事のある人間にとっては既知の事実である。
建築現場で言うと、早くから外装は出来上がっているバンドだった。
今は、内装を整えている段階。
外からは分からない部分を進化させていく。
面白いのは、バンド単位もしくはメンバー単位でその「進化」の意味も手段も違うという所だ。

音楽的に一番それが出たのが「ブルろっく」だったと思う。
音楽的な進化をハッキリと見せつけたのはドラムのりゅウ。
この曲の適当な気だるさを印象付ける、そのテンポはキープする事自体が大変。
初めてりゅウを見た時、そのストライクゾーンは正直狭かった。
得意なテンポの範囲が限られていた、という意味だが、これが見違えるほど対応出来ている。日々の努力の賜物なのは分かるのだが、同じ人間の皮を被った別人?というぐらいの変身ぶり。
ワンコーラス通してみて、感動するぐらいの進化を見せてもらった。
こういう鍛錬による進化もあれば、感性で進化していくタイプもこのバンドにはいる。
なかじとかば〜し〜、またはボーカルのさちのもそれに入るだろう。
特になかじはナチュラルに進化していると思う。動きもどんどん細かいものが入ってくる。何でも使う。いわゆる「エンヤァトットォ」のリズムをとる時にマイクスタンドまで使っちゃう。
小道具のピストルを構えてみたりする。それに乗っかる事のできるば〜し〜にも感心する。

そして60分ライブではこれもお待ちかね「楽屋にて」。いわゆる舞台裏コント。姫キャラのさちの節が全開。このば〜し〜との対立構図は本当に分かり易い。
ただし、二人だけでは限界もあるワケで、ここに一人"犠牲者"が登場することになる。つまり、感性で動くタイプではない人間がその世界に放り込まれるというものだ。
今回はりゅウだったが、そのギャップのスゴイこと。
そりゃスゴイだろう。努力の人と感性の人の異種格闘技だもの。
ギャップは大きければ大きいほど、面白いのである。だからこの場合りゅウは別に芝居の勉強をしなくても良いのだ。
そういう計算もまた、ナチュラルに出来るバンドなのである。

今回もさちのをはじめ、なかじ、は〜し〜の衣装替えは随所で行われていたが、早着替えよりも確実な路線にシフトしたようだ。楽曲のアレンジとして時間的余裕を持てるように手が加えられていた。キーボードゆうすけの実力がここに大きく寄与しているのは間違いない。
彼が一人いる事でバンドは大きな安心感を持っての演奏が可能になる。
勿論リズム隊がしっかりしている事が重要だが、この日の前日にも同じfourvalleyでライブを行ったベースのつねポンとりゅウのコンビネーションは非常に強力だった。
つまり、バンドとしての格は着々と上がっていると言える。
「ロッキーのテーマ」「EYE OF THE TIGER」のミックスバージョン(ロッキーとロッキー4、ですな)で場を整えてからの「Oh,Yeah!」はその空気にハマる構成だった。普通にジャムをするよりも皆が知っている曲を演奏する事で得る効果は確実にあったはずだ。

音楽的方向性にも注目できるものがあった。僕個人は彼らの前回のライブを見ていないのだが恐らくそこでも披露されているのだろう、初めて見る曲があった。それが「サービスTime」。
この楽曲で、ひとつの方向性は見えたのではないか。
何でもアリ、という状態からひとつ踏み出せたのではないかと思う。
アルバム製作後にお披露目されている「A bog」と合わせて、
今後展開されると予想される路線に、大きな期待を抱かせる新曲だった。

最後の曲が「タイガーホースのテーマ」だったという所も目新しかった。
カリスマ歌劇団は立派なファンクロックバンドになりつつある。
ライブの数は少ないが、準備はしっかりして臨んでくる、そういう真摯な姿勢が実っていると感じられるライブだった。
ただfourvalleyのあのステージに7名はキツかっただろう。
あれだけ動きのあるボーカリストを擁してマイクのハウリングが最小限で済んだのはラッキーに近かったと思う。

次回7月のライブは初台ドアーズ。広さの点での不安は無い。
むしろステージの作りなどから言って、本領を発揮出来る環境かも知れない。
カリスマ歌劇団のファンクロックオペラは、新しい段階を突き進んでいく。


★set list
1.スペア木
2.シートベルト
3.ブルろっく
4.A bog
楽屋にて〜Eye of the Tiger+Theme from "Rocky"
5.Oh,Yeah!
6.サービスTime
7.48/1〜タイガーホースのテーマ
posted by ユタカ at 16:57 | 東京 ☀ | Comment(3) | TrackBack(0) | 観客業報告書

2007年05月01日

ミキコアラマータ 代々木bogaloo 2007.4.30

今のミキコアラマータを見るのは2回目だった。
1回目は今年の2月。場所は同じ代々木。
その時の僕の感想は「あーよかったねー」だった。
何が良かったねーなのか分からないが、そういう気分になれたのだ。

「今の」と書いたのは、2003年にスタートしたこのグループがスタイルチェンジをしたから。
2006年3月にそれまでの"ロックんろーる"バンドとしての活動を休止。4ヶ月のインターバルを経て
登場してきたのは、一見して全く別の音楽性に「聴こえる」ミキコアラマータだった。

2003年にスタートしているのだから、そこに至るまで3年と少しかかったそのスタイルを
変えたのか、変えざるを得なかったのか、それは分からない。しかし変わった。
変わらないことで主張をするという選択肢はあったはず。しかし、それを選ばずに変化した。
しかも、僕には変化して更に進化したと思えた。

そっか。だから「良かった」のか。

この日発売となるマキシシングルのタイトル曲である「シンプルイズベスト」でスタート。
ライブ中盤で演奏した「にもかかわらず」と同系統と思われるそのファンクな立ち居振る舞い。ビアンコ(g.)の良い所、というか僕の好きな所が存分に発揮されている。
アコースティックというか、それこそシンプルなスタイルになって最も顕著になったのはそのパーカッシブな音かも知れない。楽曲のあちこちにリズムが潜んでいるのだ。
もともとビアンコのギターはリズミックな印象があったのだが、それがオモテに出てきたという事なのだろう。
更に、リズム隊のサポートである道上いづみ(b.)新岡尊史(per.)の二人がどんなリズムにも対応出来るタイプであることがそれに輪をかけているわけだ。

その三人のリズムにMIKIKO A-LA-MA-TA(vo.)の存在がしっかりとマッチしているのがいい。
恐らく彼女の存在自体が「ノリ」なのだ。
ジャンベを背負い、トランペットを吹くその姿は実に勇ましい。
自らをバンドの「象徴」と表現する辺り、よく自分を分かっているという感じがする。
このトランペットがまたイイ味出してる。本人はもっと上手くなろうと考えているようだが。

それにしても音がシンプルになった。シンプルになったお陰で、アレンジの占める比重が増した。
そのアレンジもシンプルだ。シンプルって飽きがこない所が素晴しい。シンプル万歳。
宗旨替えしてでも万歳と言いたくなるほど心地よい。ただのアコースティックではないのだ。
そう、別の音楽に「聴こえる」と書いたのはそこであって、彼女等は以前と同じ事をやっているのだ。
その佇まいも含めてのミキコアラマータ、なのだ。

ただ、分かり易くなった。ポップになった。
プラスアルファを感じる。

「陽気なへび飼い」や「ぺんぺん草揺れて」更に最後の「マイタイム」というのは、精神は同じではあるものの、更に分かり易く進化したバンドの"いま"をよく表していると思う。
以前からやっていた曲もその中には含まれている訳で、それを今という形に自由自在に弄くる。
音楽は自由なんだ、もっと楽しめるのだとバンド全体を包む空気がそう訴える。

バンドとして技術的に上手い、という事は重要だし、このバンドは上手い。
ただし、上手いバンドは結構いたりする。
僕は以前、まだ「ロックんろーる」だった頃のミキコアラマータを見て、売れるバンドとは思わないが、
自分の立ち位置をしっかりと確保して生き永らえるタイプだと思った。
それぐらい、歌詞の世界に代表されるようにスタンスがハッキリしていたからだ。
逆に言えば、それは「マニア向け」という事でもあったのだが、
そのマニアックな世界への間口を、このバンドは見事に広げる事に成功していると思う。


変わる事は勇気が要る。重圧もあったに違いない。
しかしそれをやってみせるのだから、お見事なのである。
更にそこに見えるのは、サポートメンバーとの人間関係や、ライブハウスとの良き"出会い"だ。


出会いに恵まれるのは、人徳ですぞ。
よかったねー。


☆set list☆
1.シンプルイズベスト
2.これでおしまい
3.陽気なへび飼い
4.にもかかわらず
5.ぺんぺん草揺れて
6.マイタイム
posted by ユタカ at 16:21 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | 観客業報告書

2007年04月02日

ワタナベカズヒロ 高田馬場CLUB PHASE 2007.3.11

初めて、かな?企画モノである「ナベ式」は見たことはあるものの、ワンマンライブは初めてか。
初めて彼を見た時は、いずれやるだろうワンマンは「ワタナベ」としてやる事になるのだろうと思っていたが、
その後の事については…事あるごとにあちこちに書いたからここには書かないけど…
見事に"紆余曲折"の四文字で表される道を経て、やっと(敢えてやっとと書くが)ワンマンまで来た。
遅いぞ。遅すぎるぐらいだコノヤロー。

ホームグラウンドと言って良い存在であるPHASEも改装されて、違うハコに進化した。
その会場中が溢れかえらんばかりの人、人、人。200人強だという。
これだけの人を、まさかソロで!というのが僕の一番最初の感想。
2005年以降の彼を見ている人にとっては、それほどの驚きではないのかも知れないが、
それ以前のライブを見てきた率直な感想は、よくぞここまで、である。
僕自身は、現在全くゲームというものをやらなくなったが、
ゲームに音楽で関ることで、彼の知名度はやはり広がったのだろうなと思う。
その人達は、この日のライブをどう見たのかな。これがワタナベカズヒロだ。


前半戦。
スロウバウンドでやった曲の中で一番有名だと推測されるのは「さめない熱」という事になるのだろうな。
そういうものなのだ。「GARDEN」などは昔の曲であり"久々にやった曲""昔やっていた曲"になるのだ。
そこに時間の流れを感じずにはいられない。
僕ですらそうなのだから「砂の太陽以前からのファン」にとっては、
二つの世界…それ以前とそれ以後の、だ…の融合を見せられた気分だろう。
MCでも言っていたが、スロウバンドではない。スロウバウンド。
ものすごい名前だとどこかで書いたが、意訳してしまえば「苦悶の限界」みたいな意味。
つまり、のた打ち回って作品を産み出しているのだ。

僕は「翼」とか「ミライ」みたいな曲が実は一番好きなのだが、
こういった楽曲を自然に作ってしまうタイプと、あーでもないこーでもないとひねくり回すタイプがいる。
僕はワタナベカズヒロは前者だと思っている。彼の根本は耽美系だと思う。
だから逆に"普遍系"の楽曲にこそ、彼の苦労が見えるような気がいつもしているのだ。
その極限を超えた所にある(と僕が勝手に思っている)「やがて来る季節」や「リアルライフ」が高いレベルで、会場を煽り上げる事が出来るのにはいつも感心する。
スロウバウンドは、ほぼMC無しで7曲を演奏した。そしてZIZZ組とのコラボへと続く。


ZIZZと聞いて、一番最初に出てくる名前は僕の場合は佐々木しげそ。
違う人を思い浮かべる人は沢山いるだろうけど、僕の場合は間違いなく彼なのだ。
一番最初に「ワタナベ」というバンドの音で、僕の足を止めた人物。僕とワタナベを繋いだ人物その人だ。
どういう訳か、僕は彼のドラムの音には反応する。
その時聞いた彼のドラムは間違いなく、それ以前に聞いたドラムから10年は経過していた筈なのに。
僕はドラムの音で「ワタナベ」のライブを見る羽目になったのだ。彼の顔を確認したのはその後である。
「ワタナベ」のドラマーであった彼は僕の知る所では「MYST.」での活動が現在は多いと思われるが、その彼がZIZZ組のドラマーとしてワタナベカスヒロの後ろに陣取る…ネギを持って。
しかしワンマンでネギがネタになるドラマーなんて、そうそう居ない。そうに決まってる。
あの手数が…いや当日は結構抑え目だったように見えたが…ワタナベサウンドをガッチリと支える。
手数と言えば「結晶」のエンディングなどはドラマーの為にあるようなパートだが「結晶」はいまや名曲の域に辿り付いたと言ってもいいのではないか。
この曲はワタナベの「銀色」の一番最後を飾る楽曲だが、僕などはその当時は「虹」とか「銀色」の方がすげえ!と思って聴いていたものである。それがいまやこの堂々とした存在感。
相変わらず楽曲を育てるのが上手い人だ。時間をかけて「結晶」は記憶に残る音になった。
ZIZZ組とはアルバム「ダイヴァーシティ」からの曲を中心に披露したのだが、途中でスロウバウンドの面々を呼び込んでやったD・ボウイのカバー「スターマン」は秀逸。
アコースティックとエレクトリックはここまで絶妙に融合可能なのだ。鳥肌モノである。
また、いとうかなこをゲストに迎えて披露した「When the End」はまた別世界へと見ている人間を誘う。
ワタナベカズヒロは音の人という印象の方が僕は強いのだが、こうしてみると要所要所では作詞の人でもある。
しかも「GRIND」もそうだが、英詞がハマるんだねえ。アナザーサイドをまだまだ持っているんだなあ。あ「Temple of Soul」もそうだな。アルバムは聴き込めばかなり後から味が出そうな感じ。

その後メンバー紹介の時に突然披露されたしげその「おふくろさん」に会場を一瞬持っていかれたけれど、
彼はアルバムと同じように「残光」でしっかりと本編を締めた。

しかし、勿論これでは終わらない。
それにしても他人に合わせているように見えて、実に頑固で我儘な人である。そう思わせてしまうのは大概セットリストを見ている時だ。新作は勿論いいのだ。素晴しい出来だ。
でも、今が良いというのは比較されること。
じゃあ昔はどうだったのよ?
それを彼はワンマンライブという、大人数の前で確かめたかったのではないのか。
その結果「ワタナベ時代」の楽曲が要所に配置されたように思う。
スロウバウンドの3曲目に「GARDEN」、withZIZZでは同じく3曲目に「結晶」。
そして、アンコールで「コナゴナ」しかもしげそ、yossyのツインドラムというおまけつき。
いま、決してこのアンコールで「コナゴナ」を演る必然性は、見ている方には無かった。

もう相手はノックアウトされている。ダウンしている。
そこに、更にトドメ。ダメ押し。
しかも必殺技で。

「コナゴナ」を初めて聴いた時は背筋が背筋がゾクゾクした。
でもこの日のそれは、記憶を上回った。
僕は、実はこの曲にこそ、この日一番大きな意味を持たせていたのではないかと思うが、それは邪推か?

最後の最後は、もちろん「エンディング」。こうして、延べ2時間と少しの大ワンマンライブは終了した。



一番すごいのは、これがスタート地点だという事である。
posted by ユタカ at 19:18 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | 観客業報告書

2007年01月30日

MYST. 浅草クラウド 2007.1.14

最近、この分類の仕方が特にギモンだ。
メジャーとマイナー(インディー)の事である。
この角度の価値観が突出している印象を受ける。
音楽関係では、この二つの単語が時として誤解を生みやすい。

プロとアマチュア

のように。
メジャーである事とプロである事とはイコールではないし、
インディーとはアマチュアの事を指すのではない。
(かつて、そういう時代があった事は認める)
しかし、世間はどうもそういうモノサシで比較をしたがるのだ。

アマチュアとプロの境界線が分かりづらくなってきているのだろう。
アマチュアのレベルは本当に向上した。特に技術面において。
アマチュアトップレベルとプロ最下層レベルとを並べたら、見分けはつかないだろう。

ぐだぐだ長いマクラだが、MYST.はれっきとしたプロである。ここに認定する。
今更何言ってんだよ!と思った人、あなたの目に狂いは無い。いい仕事してますよ!



浅草クラウドは、いつも思うのだが意外と広いハコだ。
その広いスペース後方そして取り囲むような形で壁際にはイス席が設置されている。
ステージ前、つまりスペースの前方にはイスは無い。
客層の広さを誇るMYST.ならではの光景だ。
イス席の前にスタンディングのスペースがある、という事についてはどうなるのだろう?という素朴疑問もあったがすぐに氷解。
それは、スタンディングスペースの人も座っちゃったから。
見事に違う客層が共存出来ている。
お客さんを見ても、バンドの格というのは判断出来る。どんなに荒くれ者がパフォーマンスをすると言っても根本がしっかりしていれば、お客さんの質もアガるというもの。
騒ぐべき所は騒ぐ、締めるべき所は締める。ここ重要。

「夢をみる間に抱きしめて」は彼らのライブでは定番中の定番曲。
この曲を知っていればまずライブに参加するパスポートは手に入れたと言える。
そして、ライブが始まるまでこの曲を知らなかった人もここで覚えておくと、
必ずライブに"参加"する資格を手に出来る。色んな意味で重要な曲だ。
定番曲を一番最初に持ってくる事が出来る。
これは彼らのレパートリーが豊富だから出来ること。

そして口上。このバンドが和装しているひとつの根拠だ。
見た目だけでライブをやるのなら、このスタイルは個人的には推奨できない。
誤解を受け易いからだ。
イロモノ扱いで終わりなんて事は恐ろしいかな、現代では日常茶飯事だ。
この口上はMYST.スタイルを体現する重要な手段。
口上だけに時事ネタも取り上げ易い。「古い牛乳使ったケーキ」は流石。
こういう形の笑いはセンスだろう。チクっと刺すヤツね。

ボーカルの佳上が浅草の出。ここクラウドは彼の地元でもある。
そんなMCから「舞い降りる雪のように」
今回はステージ上にプレイヤーが多い。
ドラム、ギター、ベース、ボーカル、コーラスが2人。
この後ゲストのギターボーカル、パーカッションも入ったので、一番多い時には8名がライブパフォーマンスをしていたことになる。
ゲスト不在時にはこれに「からくり箱」のバックトラックが重なる。音の厚みは相当なモノだ。しかし実際にその音を耳にした人は、その厚みと共に感じるはずの重さを感じない事にまず驚くだろう。
これぞアレンジの妙でありMYST.が「造り込むタイプ」の職人集団である事が良く分かる。

今回彼らは3曲の新曲を公開した。当日は音源も発表。
そのどれもが今までのMYST.とは一線を画した出来となっている。
今までの制作手順を考えると、この新曲を手掛かりとして恐らく新しい方向性を見つけ出したのだろう。
3曲ある、というのはヒントは既に得ていると思う。
そしてヒントを得た、という事は今までの楽曲も微妙にマイナーチェンジをしていく機会も有る事だろう。
この日も演奏されていた「サムライ商売」のように。

さて、造り込むと書いたが、彼らバッキバキのミュージシャンなのは言うまでも無い。
そして、あまりに当たり前の事なのでついついMCのやり取りだとか、キャラクターだとか、そういう「ソレ以外」の所に目が行ってしまいがちなのだが、1曲だけ演奏されたカバー曲によって見事に「オレらプレイヤーだよ♪」というアピールに成功していた。
それがTHE DOOBIE BROTHERSの「Long Train Are Running」。
もちろん「からくり箱」は休憩中だ。
プレイヤーであること。それも数多くライブをしているからこそ出来ること。
イントロから数小節にして見事に転調してしまった(!)この曲は、僕にとってかなりのインパクト。
原曲は勿論転調しない。しかも自ら言わなかったら演出だったのではないか、というぐらい自然な対応。
メンバーのソロ回し、という展開は目新しいものではないのだが、逆にソコが僕みたいに年齢層の上の方を構成していた者にとってはライブのツボと呼ぶべきものだし、また若い層にとっては、こういう展開は新鮮だろう。
でもこのカバー、やっぱりイントロで勝負アリ。二ノ宮氏、オミゴトの巻であった。
MYST.を知らない方へ。このバンドにはエレキギターという楽器はコンセプト上ありません。
それでこの迫力ってなんだ!

この日、実はコーラス隊に「拍手」「手拍子」等のパネルを持たせて
客席を煽る"ヤラセ"を、公開で仕込むという演出もあった。いやあった筈だったのだがソコはマジメなコーラス隊、パネルを掲げるタイミングに一苦労。
ところが、そういうタイミングの良し悪しに関らず、手拍子は起き、拍手は沸いた。
良い意味で逆効果になった。ライブとは、結果オーライである。

このライブ、実際のところはワンマンライブという括りで見ても長時間にわたるものだった。150分にわたるライブとは、そうそうあるものではない。しかもライブハウスでだ。
普通、どこかで中だるみになってしまってもそれほどオカシイ現象だとは思わない。しかし、後半の曲の数々を見ていてもごく自然に入ってきて楽しむ事が出来る。
失礼な話かも知れないが、僕は普段からMYST.の音楽を聴きまくって生活している訳ではない。勿論音源を入手した直後とか、そういう特別な時は別だが、のべつ耳にして日々を送っていない。
それでも曲のイントロが始まれば自然に世界観に入り込むことが出来る。
いわゆるポピュラーミュージック。ポップスだ。
ロックと呼ばれたいかも知れないが、僕はポップスである事を素晴しいと思っている。
そしてライブ終盤ともなればお客さんは立ち上がるモノである。
何故なら立ち上がりたくなるからである。それが自然だからである。

皆立ってしまったら、後ろの人見えなくなるよな、とは僕の素朴な興味。
それが、立って踊りだすお客さんは居たが、それがちゃんと立ち位置を後ろの人の邪魔にならないようにズラして、それも一団となって踊っている!
ほんとに、あちこちのライブで色んなお客さんも見てきたけれど、この統率のとれたお客さんに脱帽。
繰り返すが、こういう所にアーティストの格は出るものだ。

下のセットリストにあるとおり、怒涛の21曲。そして、その21曲目は1曲目と同じ曲。
そうです、1曲目で覚えちゃった人は、みんな参加出来る曲。
会場全体が一丸となって盛り上がった「Die As Samurai」これ、いいタイトルだよね。

年間にライブを100本以上、というインディのミュージシャンはあまりいない。
しかしMYST.はライブを年間200本やる。尋常ではない数量。
しかも質を問われる。質を求めなければ次は無いのだ。
数量とクオリティのバランスをギリギリの所で保ち、しかもメジャーではない以上、生活の為に仕事もする。
しかも佳上の場合は税理士というこれまた尋常ではない業務。
本当にサムライなのだ。
その体力、知力の限りを尽くして…今回がワンマンライブ6回目。
1回やるのでも大変なワンマンを6回やる事で「育てて」きた。
明らかに動員数は増えている。そして満足度も。


これら全てを支えているのは、MYST.のサービス精神。
これなくして、プロと呼ぶべからず。
当たり前の事を、当たり前のようにやる。これが一番難しく、そして尊い。



サムライ達は、今日もどこかで戦い続けている。


☆Set List

1.夢をみる間に抱きしめて
2.D42
3.舞い降りる雪のように
4.30years boy
5.光風霽月
6.愛する人に愛されたくて
7.DELETE
8.Wish
9.Long Train Are Running
10.サムライ商売
11.Run4 Nothing
12.APDV
13.Last A Few Words
14.Entropy
15.惰性
16.Forget Me
17.Till The End
18.Ready Go !
19.愛よりも残酷
-encore-
20.そしていつの日か
21.夢を見る間に抱きしめて(Die As Samurai)
posted by ユタカ at 13:54 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 観客業報告書

2006年11月10日

高田エージ(SUPER Goooooood!) 渋谷クラブクアトロ 2006.11.3

高田エージが帰ってきた。クアトロに帰ってきた。
今年で4年目を迎えた「Thank You Japan!」
一番最初にこのタイトルを目にした時は笑っちゃった。
渋谷のひとつのライブハウスで「Japan!」だもの。なんと大袈裟な!と。

でも、年々それが大袈裟じゃなくなってきている。
見るたびに「なんなんだ!これは!!」となるんだな。

SUPER Goooooood!のサイトにある高田エージの日記。
日付に注目。7月26日の次の日記は9月5日になっている。
ご本人言うところの「緊急強制夏休み」である。

8月末に横浜サムズアップに行った時の事を思い出す。

チャージ、ゼロ?なんで??
いつもと違う祭りの雰囲気。
他の出演者全員で、一生懸命盛り上げた夏祭り。
でも、高田エージはそこに居なかった。

サブステージでHOT ROD CATSがプレイしている。
彼等はいつもSUPER Goooooood!の直前のステージだ。
会場をうまい具合に暖める、重要な役割を今年も着実に果たしている。
ただし、その前に既にKen Ken of INVADERSの暴発とも言えるステージにより
昨年よりも、既にテンションはオカシくなっていたのだが。

そのステージが終わりに近づいた時から異変は始まった。
異変と言ってもそれほど間違っちゃいないだろう。

殆どのオーディエンスが、まだ暗いメインステージの方を向いているのだ。
首だけじゃない。演奏しているステージを向かずに、もうメインステージに注目しているのだ。
お客さん、まだ準備中ですよ。
そんな事知った事じゃあ無い。もうすぐ始まるんだもの!

その会場全体から発せられる「ドキドキワクワク」の空気はイントロダクションの間、段々と圧縮されて。。。
そして…来た!「King of Yeah!」

瞬間…会場が真っ白になった。
全ての音と色彩が、クアトロの中でスーパーノヴァ状態になった。
何も聞こえない。何も見えない。

そして、目に見えない筈の…エネルギー、オーラといった類のものが、ハッキリと見えた。

これは経験で書くが、ライブステージのテンションがアガっていくと、色が段々無くなっていく。
最初は鮮やかな原色が弾けるようになる。その上が、レインボー状態になる。
更にアガると…白くなる。
この日は、その「白」が更に輝いた!

僕等は、何処かへ連れて行かれてしまったようだ。

今年のSUPER Goooooood!は、まさに変幻自在。
一曲ごとにメンバー構成が変わる。そのどれもがSUPER Goooooood!
おかしいな、去年のアレはなんだった?一昨年のは?

アレも凄かったんだけどなあ。この「凄い」は、青天井なのか?
どこまで行ってしまうのだ?
もう、おなじみの曲の数々。イントロが流れれば皆が「アレだ!」となり、
そしてその時点でお祭り再開。
じゃらんじゃらん、BaliBelly、宇宙の鼻クソ、BUDDY、King of Yeah…毎年やってるのに、
どうして毎年違うんだろう。
普通こんなに楽曲が受け入れられる時というのは、作品が一人歩きを始めている時と
思っているのだが、SUPER Goooooood!の場合は違うみたいだ。

特に終盤。「海の男のロックンロール」「永遠」は、異次元の出来。

昨年のエンディングは「永遠」の大合唱だったが、今年はまた違う。
勿論ステージ上には…もはや数えるのも面倒なぐらいの人…30人以上の出演者が勢揃いでの大熱演!
「永遠」はもはやスタンダードとなった感がある。
これからも恐らく、ずっと残る曲となるのだろう。
そして、どうにも抑えきれない気持ちを僕らに与え続けてくれるのだろう。

永遠、で終わっても良かったのだ。それでもよかった。
でも今年の高田エージはそこで下がらなかった。
山のような出演者達がステージを去り、彼一人になった。

気のせいかな。いや、違うだろう。
今年のこの会場のうねりは、やはり違ったのだ。

少し目を赤くした彼が、静かに演り始めたのが「星空の下」。
嵐の後の、つむじ風。

しみた。
ああ、この時間が永遠だったらと。
いつまでも祭りが終わらなければいいのにと。
会場を埋め尽くした観客のひとりひとりが、恐らくそう思いながらステージに集中する。
そう「永遠」は曲でもあり、テーマでもある。

そして、祭りが終わる瞬間の、あの空気を震わす歓声。
この「ゾクッ」とする感覚を味わう為に、1時間30分。
無駄な時間なんて、一秒もない。
クアトロが全力で駆け抜けた。休むことなく。


これ以上、スゴクなってしまったら、いったいどうなるの?
僕等はドコまで行けるのだろう?
高田エージは成長し続ける。
SUPER Goooooood!は成長し続ける。

そして、たぶん…

来年も僕等は目撃する筈だ。想像を絶する、という事がどういう事かを。
それは、日常の中にいつもは潜んでいる。
日常のフリをした彼等に、提供されるのだ。


今年も、非日常空間をありがとう。
凄い凄いとしか言えません。でも、やっぱりあなたは凄い。



あとがき
posted by ユタカ at 15:40 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 観客業報告書

2006年02月09日

REMINGS 渋谷クラブクアトロ 2006.2.4

全く持って不本意であるが、この報告書は当初予定には無かったものだ。
このクアトロライブの数日前、
新宿でライブを終了した直後のREMINGSの面々と賭けをした。
その日のライブの出来が良く、報告書を書こうかと思ったのだが、
思えばその数日後にはこのクアトロのライブがあるじゃないか。

そこでプレッシャーをちょっとかけてみるつもりで彼ら一人一人に質問した。
「ねーねー、クアトロではこれ以上のライブをやってくれるんだよね?」
とってもイヤな客だと思います、我ながら。でも訊いた。

メンバー4人とも、即答で「あたりまえじゃないですか!」
あまりにも強気だったので、その答え通りのモノを見せてくれるのなら
報告書も書くし、メンバー全員にラーメンをご馳走しましょ、と約束した。


そして、この報告書を書く羽目になるとは。
勢いで書いているように見えるが、結構大変なんだぞー。

まっきーセシルはボーカルというより役者だし、
石黒はどこ見てるか分からないし、
ショウは衣装が黒から白に変わったらしい、
タケシはビルドアップしている。

「クレイジーになろうぜぇ!!」というボーカル・セシルの第一声で
雪崩のようなライブが始まった。
「Can't stop lovin' you」曲を作ったのは誰だ?と聞くだけ野暮な石黒節全開だ。
僕はこのバンドの報告書を、実はほぼ一年前に一度書いている。
その時にも、僕は石黒の曲を「分かり易い」と書いた。
分かり易い、は誉め言葉である。
伝える事が使命づけられているパフォーマーは、その手立てをあれこれと考える。
その結果、もっともその中で分かり易いアイデアを駆使するのだ。

石黒の場合は別段考えてはいないのだが、彼の志向が既に分かり易いに向いているから
全く問題が起こらない。むしろ自然に出てきたものを楽曲として仕上げるので
その方が都合が良かったりする。
ただひとつの弱点は、その単一志向?と思えるほど、一途な所だろう。
しかし、石黒がそれを直す必要な無い。

なぜなら彼はソロプレイヤーではない。これはバンドの話だから。
まるでそう言ったんじゃないかと思える程にタイプの違う曲をプレイする。
「ハニー☆バニー」ショウの作ったそのハードロックは、
REMINGSというバンドの評価を押し上げるのに充分な役割を果たしている。
そして、その曲をバンドとして取り上げた所に、
REMINGSというバンドの"もうひとつの顔"を見る事が出来るのだ。

見た目は一年前と同じバンド。
違う所を探してみるが、なかなか見つからない。
というのは、基本的なライブ進行は同じ要素で構成されているからだ。
ん?少しステージで転げまわる時間が減ったか。
実は小さな違いだが大きな成長の跡が見える要素だ。
一年前の彼らには表現力が足りなかった。
足りなかった部分を彼らは肉体でフォローした。
という事は、表現力がアップしたという事だな。

「オレが失恋した時の歌だから」とセシルが言った直後に始まったのは「シャララ」
こういう曲が出来るようになったのは進歩かも。
そっかぁ、石黒こういう曲も書くのか、の一品ですな。
この曲でセシルはマラカスを手にするのだが、
正直な所、クアトロではその音はちゃんとマイクでも向けていないと分からない。
ただ、本人はかなり満足げである。

さて、このライブの恒例の時間がやってきたぞ。
「シャララ」が終わった所で石黒がセシルに耳打ちしたのだが、
セシルはその内容を即座に大公開。まったく耳打ちの意味が無い。
セシルはステージ上で「ねじを失くしたみたいです」と言っていたが、
後から石黒本人に何のねじか、と尋ねたところ、ギターのストラップを止めるねじのようだ。
物凄いものを失くすな。
というか、この石黒という男はこの数日前のステージでもモニタースピーカーに
足を掛けてギターを弾こうとし、モニターが明らかに通常のものよりも小さいのに
足を乗せてモニターごとステージから落ちそうになったヤツである。
つまりは、ステージ上で必ず何かやらかさないとREMINGSのライブだと認知されないぐらいの
ハプニングメーカーキャラなのだ。

ねじはステージ上で消えたようなのだが、
セシルは「すみません、ねじ持っている人いませんか?」…いるわけがない。
石黒はまだ探している。セシルどうするのか?

…客席に向かって、にらめっこの勝負をしかけました。
しかもそれに着いていけなかった客席に逆ギレ。
こういう時のセシルが実は一番イキイキしているのが面白い。

結局、石黒はねじ探しを諦め
(諦めるのなら探さなければいいのだが…ギタリストにとっては重要なのかな)
セシルに「盛り上がっていく所だったのに」とツッコまれ、
石黒はいつもセシルにツッコむ方なのに、大人しく「はいはい」言ってました。
妙に新鮮な光景ではある。

で、MCも完全に流れは途切れたわけだが、REMINGSどーすんの?
セシルはいきなり「シャラララ、シャラララ♪」と前の曲のリフレインを歌い始めた。
と、ちゃんとバックが入った!つまり、3曲目の終わりからやり直した!
そして、キレイにメンバー紹介をまとめてやったのであった。

REMINGSはおバカだが、練習はちゃんとやるバンドである。
最近は忙しくて週2,3回と言っていたが、
元々週4回は確実にスタジオでリハをしていたバンドだ。
練習はウソをつかないという、いい例ではないか。

それにしても石黒は頭の後ろでギターを弾きすぎだ。
そろそろ違う芸も見せてくれ、とツッコんでおく。

「ビーチパラソル」が始まる。
実は昨年のセットリストと見比べていたのだが、
その時もやって生き残っているのは、今回はこの曲だけ。
定番化した曲だ。
この曲で、客席から合唱が起きるようになった。
この一年間の活動もまた、ウソはつかない。
自然発生的に、観客の方が面白がって(ここがREMINGSらしいが)始まった合唱。
この合唱が起きるようになった辺りから、彼らは進化した。

練習によって進化を遂げ、客席に育ててもらうバンド。
シアワセじゃあないか。
ちなみに石黒はこの曲でも頭の後ろにギターを持っていったが、
ピックを飛ばしてしまった所はツッコんでおいた方がいいか?

最後の曲は…実はコレが最大の進化なのだが…「とんこつ(仮)」。
何故とんこつで、しかも(仮)なのか、全くその真意は分からないが、
一年前のセシル、いや、あの頃彼はまっきーだった、彼の
「今のオレ達に必要なのはチーム愛なんだ!」が歌詞として結実した傑作。
必殺技がある事は強い。今のREMINGSと"チーム愛"という言葉はソレぐらい密接していて、
しかもそれを利用した、バンドの名刺代わりの歌まで作り上げた。

セシルはボーカルというより役者だし、
石黒はどこ見てるか分からないし、
ショウは衣装が黒から白に変わったらしい、
タケシはビルドアップしている。

でも、それでいいのだ。
大きく進化した。しかも、大きな違いには見えない。
実は、これが一番凄い事なのだ。

考えてコレを成し遂げていれば天才だが、彼らはコレを本能や直感でやっている。
だからREMINGSなのだ。
タケシがライブ直前に「今日はやりますよ」と不敵に予告していったが、
今日はやられました、ハイ。

ただ、本能や直感でプレイするようなヤツらに
ラーメンを奢らなければいけなくなった僕は、どうよ?
コレ一度キリだぞ!

★set list
1.Can't stop lovin' you
2.ハニー☆バニー
3.シャララ
4.ビーチパラソル
5.とんこつ(仮)
posted by ユタカ at 18:06 | 東京 ☀ | Comment(6) | TrackBack(0) | 観客業報告書

アロマティックシスターズ 渋谷クラブクアトロ 2006.2.4

クラブクアトロというハコは音楽をやっていて、ライブ活動をする者であれば
一度はライブをやってみたい所だ。
ステージは高いし、広いし、何よりもその独特の雰囲気にヤられる。
ただ当たり前の事だが、そんなに簡単にライブ出来るような場所でもない。

イベント(興行)をやる以上は、ある程度の実力が必要になる。
実力の定義は定かではない。
これが明文化されているならば実力をアゲようと思えばアゲられる、という事になるし、
また誰でも目指せるのであれば面白み半減する。
その実力とは何か?と探し回る所から始まるのが面白くて、ハマる所なのだから。

'06年2月4日、クラブクアトロ。
イベント「Radio FREE YOUR MIND 頂上決戦」〜アロマティックシスターズCD発売記念〜

見て分かる通り、メインエベンターである。
クアトロ初登場で、いきなりのメイン。これが意味する所がお分かりか?
新日本プロレスにいきなりブロックレスナーが来たようなものなんだぜ!
世界標準だ!黒船来襲だ!

…すみません興奮し過ぎました。

いやしかし、このイベントがクラブクアトロで開催されるのはこれが初めてでは無い。
そして、このバンドは少なくとも
僕が初めてライブを見た'05年の元旦以前にもライブをやっていて、
イベントはそれ以降も開催されていた。

という事はイベントに出演していなかったわけだ。
イヤな書き方をすると、このバンドのギタリストはのんちであり、
この人は「Radio FREE YOUR MIND」のDJの一人でもある。つまり主催者側だ。
その人物が、アロマティックシスターズのブッキングを見送ってきた。

満を持して、という事か。
機は熟した、という事か。
だからCDを作ったのか。

DJの紹介と共にイントロが始まる。上手い。
僕の中では、実は物凄く不思議な位置に存在するバンドなのだ。
上手い、とだけ表現するのは勿体ないバンド。
のんちのギターは勿論、ベースのGoroも当然のように上手い。
ドラムのMonkey.T.Nissyは初めて見た時とは別人のように上手くなったし、
昨年夏に加入、初お披露目となったライブでは「大丈夫?」と声をかけたくなる状態だった
ぬまっつーも、いまや堂々としたプレイを披露する。
つまり、みんな個人は平均点以上の所に立っている。

「上手い」の上に来るのはたぶん「凄い」なんだけど、
不思議な事に凄さは感じさせない。
それも、どうも「凄いと思われたくない」ように感じるのだ。
それが独特のバンドキャラを醸し出しているような気がするんだな。

最初はバンドじゃなくてユニットかと思ったぐらいだから。

ユニット=寄せ集め
今思うと、初めて見たライブは今と随分違った。
バンド内のパワーバランスが、かなりアンバランスだったから。
それがリハーサルを重ねて、かなり平均化してきている。
バンドの中ではキャリアの違いは関係無いわけだから、それはいい傾向だ。

2分間のイントロの途中でツインボーカル、Mariとさとてぃんがステージ上へ。
これでもか、と観客を煽るのだが、これも見ていると面白い。
二人の息が合っているのか、合っていないのか段々分からなくなってくるのに
最後はちゃんとまとまるからだ。
つまり、てんでバラバラに煽っているように見えるのだが、最後は意思統一されている。
不思議だねえ。
そのまま「跳ねる靴」へ。
レパートリーから考えると、この歌謡曲寄りの曲がトップに来るというのは意外。
だが、ライブが終わる頃にはこれでいいんだあ、と思える。

今までのライブでも、トップからイキオイで持っているのではなく、
じっくり入ってくる形の多いバンドである。
逆に構成というか、最後までの流れの作り方に長けている、そういう事なのだろう。
「今思い出しているの」が始まる。
この日やった曲目の中で現在最も気に入っているナンバーだ。
女性のツインボーカル、というと妙に明るいだけでイキオイつけて行ったり、
そうでなければテクニック満載で聴かせるタイプだったりする傾向が強いイメージがあるが、
そのどちらでも無い楽曲が多いバンドだ。
マニアックな部分もあるし、能天気な部分も確かに垣間見えるが、
そこが必ずしもメインでは無いところが面白い。
同じようなタイプのバンドを挙げろ、と言われても正直かなり迷う。
ニッチなバンドだ。

これも今思えば、なのだがボーカルは自信つけたんだなあ。
バックに負けない存在感を放つようになってきた。
勿論、まだMAXじゃあないけれど、この日の二人を見ていても、
初めて見た時の二人はバックに守られていたのが分かる。

逆に言うと、大事に育てられて、期待に応えて大きくなりました。
その結果、バックが更にのびのびとプレイ出来る環境が出来たって事なのでしょう。

のびのびと言えばこの後のMCなどはその典型。
普通ボーカルでしょ、MCと言えば。
なのにイキナリそれを遮って「Say Yeah!!」とやってしまうのんちはどーなのよ!
彼は流れを作るのも壊すのも、つくづく上手だと思う。

で、これはレコ発ライブだと改めて観客が思い出す瞬間が。
「CD、買ってくださぁい!!!」
コレをメンバー全員、お辞儀つきで何と三回もやりました。
選挙運動かよ!とツッコミたくなるぐらいあからさまなMC。
だけど、これがイヤみにならないのは、かなり得してるよねー。

「そうだ夏だった」。これはのんちソロでも聴ける楽曲だが、
アロシスでやると、やっぱり違う良さがある。
楽曲の重さが変わる。やなり適当に軽くなって可愛げが増すんだねえ。
この辺りを見ていても、二人は相当ノってきた感じ。
ライブに弾みがついてきた!
そしてCDに収録されている「青いシャツ」へ。
これはライブをずっと見てきた人は分かるのだが、ある時期からのんちが手を加えている。
この辺のアイデアが豊富な人だといつも感心させられるが、
一番ハッキリしている所はサビ前の英語の掛け合い部分。
あれをラップとまで言えばいいのか専門じゃないので分からないけど、
アレが入った時点で曲が加速する。効果満点だ。
後でCDを聴いてみたところ、その掛け合いの入っていないのが正調「青いシャツ」で
彼の声がフィーチャーされているのは「青いシャツたち」という事になるらしい。
個人的にはこの英語が入っているバージョンが好きで、
それ以降、僕の中でこの曲に対する好感度はカナリ上がっているのだ。
そして、それは客席の熱もしっかりとアゲた。

この曲が最後にキテも良かったのではないかと思ったりもする。
最後の曲が既にカップリングである、という事が分かっていて、
その曲調をイメージした時に、勢いで終わらせる、という考え方もアリでしょ?と
思っていたのだが、ここがフツーじゃない訳ですよ。

「僕が君を忘れるから君は僕を忘れないで」
このタイトルを見て、のんちスゲー!と初めて思ったですね。
これはもう、オトコならかなり分かるという微妙な部分が凝縮されてるもんね。
しかもこれを女性ツインボーカルでやる。
ある意味、このアロシスというバンドの存在証明みたいな楽曲です。
繰り返されるこのフレーズ。

ホント、見た目に惑わされちゃイケナイ。
このバンドのライブは、沁みるんですよ。

確かにステージ上の6人はてんでバラバラに動き回るし、
やたらと客席煽るし。
でも実は見ている人の心の内に、しっかりと居場所を作ってるんだよね。
不器用なんだけど。

不器用ですよお。
ソノ事が分かった瞬間、このバンドに対する将来性は充分感じられるのです。
まだまだ青天井です。やれば出来るバンドです。
つまりは、どこかで必ず大化けするハズです。
今のうちに目撃しておくと、その稀有な立ち位置を体感できますぞ。

セットリスト見てびっくり。
レコ発の主役が、たったの5曲しかやってない。
だけど、見た人は誰一人として「たったの」とは思っていないでしょう。

そういう事が出来るバンドなんですよ、ここは。
ひとつだけ注文があるとしたら、マキシじゃなくてアルバムで出してほしかったなあ、CD。
次回にまた期待を引っ張るのも、ここの手口??

★set list
1.イントロ〜跳ねる靴
2.今思い出しているの
3.そうだ夏だった
4.青いシャツ
5.僕が君を忘れるから君は僕を忘れないで
posted by ユタカ at 14:08 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 観客業報告書

2005年12月23日

高田エージ(Super Goooooood!) 渋谷クラブクアトロ 2005.11.3

最初、この"観客業報告書"を書くのはやめようか、と思った。
理由は幾つかある。
通常、観客として見に行ったライブ終了後10日以内に発表する、としていた自分ルール。
ライブはナマモノなので、旬を過ぎたら発表する意味も半減してしまうとして作ったルールだ。

このルールに、よりによって自分自身が原因となって引っ掛かってしまった。
完全にワタクシゴトなのだが、右足の血管を感染症という厄介な病気で患ってしまったのだ。
この病気が発覚したのは11月の7日のことで、
実は10月半ばから原因不明の痛みが発生し、歩行困難になっていった。
11月3日、僕はクアトロで殆ど正常に歩行する事は出来なくなっていた。
もちろん、ジャンプする事も出来なかった。

話しが前後するが、この報告書を書こう、と決めたのは2004年の11月3日の事だ。
その日のクアトロも、非日常な空間が創出され、持ちきれない程の幸福感を持ち帰る事になった。
来年もこのクアトロが開催される事はその時点で分かっていたので、
今度はちゃんと準備して、報告書を書く事を前提として、このライブに参加させて貰おうと
決めたのだった。

なのに、このていたらく!

僕は、
SUPER BADを知らない。
EIJI&TETSUも知らない。
SUPER Goooooood!を知ったのも2004年の春だ。

いわゆる、コアなファンとは違う立ち位置にいる。

そういう人間が、こういうライブの事を書いてしまって
(いや、ライブレポという自覚は無いけれども)
昔から高田エージというアーティストを知っている、
追っかけている、そういう人たちから見た時、

「え、それは違うんじゃないの?」

となる可能性は十分に予想出来る事であって、
それを恐れて昨年は書かなかった、という敵前逃亡だったのかも。

正直、あのライブから一ヶ月を経過し、
そうでなくても記憶力の弱くなった僕には、
ライブそのものを書くという行為は期待出来る事ではない。
だから、だらだらと書いてきたが、ここまではようするに弁解しているのだ。
長い言い訳だ。

さて、と。

シンプル・イズ・ベスト、という言葉がある。
英語のよく分からない僕だし、正確な意味などよく分からないが、
この言葉自体は、世間でもよく用いられる。
だから、ニュアンスとして受け取って頂く。シンプル・イズ・ベスト。

僕は、高田エージにこそ、この言葉は当てはまるべきだと思っている。
この「シンプル」の境地に辿り着く為には、
色んな回り道をしてこなくてはいけない。
一朝一夕にして、理解出来るものでもなかろうし、理解できても困る。

彼の今までの音楽活動を「回り道」としてしまうのは、もちろん若干の抵抗はある。
また、それは僕の主観だ。
あらかじめ、お断りしておく事にしよう。

「KINGのテーマ」でド派手に今年のステージはスタートした。
昨年も客席の盛況ぶりには驚かされたが、今年は遥かにそれを凌ぐ会場となった。
客席が最初っからウネっている。大きな波があちこちから押し寄せてくる感じ。
五体満足な状態でもこれは大変だ!
波がおさまらない内に「Bali Belly」が始まる。
でっけぇサムズアップ!(親指だけを立てた手の形。イェイ!って感じ)と
でっけぇシルクハットを装着した高田エージ。
ステージ上は既にハッピーのオーラで充満している。

シンプルって「簡単」とか「単純」とか、そういった意味で捉えられる事が多い。
でも違うんだよね。
シンプル、は結果。
そこに至る過程、そしてシンプルを構成するもの。
それらは実に見事に複雑だったり、慎重に重ね合わせたり、手がかかっている。

アーユーレディ?
ウィアー、スーパーグーッ!!
みんなのってるかーっ
オレはのっているかーっ
みんな楽しんでるかーっ
オレはのっているかーっ
オレは誰だーっ?

ステージ上で彼が叫ぶ言葉の半分以上は、コレだっ。

僕はこれを勝手に「くり返しの美学」と呼んでいるのだが、
ほんとにこれだけで、温度を上げる事が出来るのって、すっげぇ事なんだな。

ガムランと沖縄音階が流れ始める。
そして、極彩色の照明が一斉に炸裂する「じゃらんじゃらん」
このスケールの大きさはなんだ!
ステージ上の効果は、主に照明で賄われる。
しかし、その効果が照明だけで無い事も確かなのだ。
じゃ、何でその数倍もの効果を出しているのか?

それが、人だ。

もちろん、ご本人に何かそういった事を伝えた事がある訳ではないので
これは、僕がここで、ここだけで、勝手に書く事なのだけども、
高田エージという人は、僕の「ライブの見方を変えるきっかけをくれた人」だ。
いくら感謝しても、感謝し足りない存在なのだ。
ライブをするのも、音を奏でるのも、歌うのも、最終的には人なんだよ。
人間がスケールアップすれば、音もスケールアップする。
ライブは、その人の器のなせるわざ、なのだと。

僕は勝手に受け取っているのだが。

そんな事を考えながらステージを見上げていると、
KenKenのベースがあのフレーズを弾き出す。
「宇宙の鼻クソ」だ。
初めて耳にして、目にして、一発で気に入って「あの曲はなんてタイトル?」と
調べて、CD見て、ひっくり返ったナンバーだ。

我々は笑われる人、宇宙の笑われ者ぉ!

この言葉を自分の中で転がしていると、知らない内に、
天と地がひっくり返るんだぜ!
そして、ツインドラムってこんなにカッコイイものなんだぜ!
と見ているこっちが胸を張りたくなる。
いいねいいねいいねー。

演っている人、見ている人、そんなの関係無くなっちゃうんだよな。
「BUDDY」とか見ていると、その境界線がいつの間にか消滅している事に気付く。

このライブにはミッキー・カーティスという、これもまた最高なゲストがいて、
ここから「Hound Dog」「Jenny Jenny」「Blue Suede Shoes」と
立続けにかっ飛ばしてくれる事になるのだが、
そのゲストに繋ぐのに、会場を「あっためる」どころか「沸騰させる」なんて
最高のバトンタッチだと思うなー。

そして金子マリ登場。
問答無用の存在感。「そのままでいいよ」

この何気ないフレーズに、最高のパワーを込める事が出来るチカラ。
それはファミリーにも受け継がれている。
この報告書でも取り上げた、のんちもそうだ。
(彼はSUPER Goooooood!のメンバーでもある)
クアトロでもその暴れん坊ぶりを遺憾無く発揮した晴志(SEiZI)もそうだ。
その先頭を切って、高田エージはSuper Goooooood!を走らせる。
上にあげた、アジテーション以外にもうひとつ、煽動する言葉がある。
それが「King of Yeah!」
「そのままでいいよ」で抑えた空気を一度に解放する。
ここからは、もう理屈なんか存在しない。

この"Yeah"という言葉に、これだけのチカラがあるんだなあ。
無礼講は最高潮を迎える…普通ならこうなる所なのだが、
この無礼講は、此の期に及んで序の口の風情なのだ!

ここに加速度をつけるのに、この人たちはオールドスタイルを持ってくる。
それが「New Orleans」だった。
目新しい事をするのではない。派手な仕掛けを見せるわけでもない。
プロレスで言ったら、ウエスタンラリアットもパワーボムもスープレックスもいらない。
ヘッドロックでも、スリーパーホールドでも、必殺技になるんだ、と言わんばかりだ!

さらに畳み掛けるように「海の男のロックンロール」。必殺フルコースだ。
この曲のイントロでメンバー紹介をしているが、13人がプレイヤーとしてコールされている。
実際は、これにコーラス部隊(間違い無ければ2名×2組)とゲスト2名がここまでステージに立っている訳だ。

初めて見た時、その人数に圧倒された。
そして、その人数が本当に必要な音楽なんだ、と分かってもっと驚いた。
それが、押し寄せてくる。眼前に迫ってくる!

そして、クアトロが…揺れた。

冗談みたいでしょ?比喩だと思うでしょ?
違うんだよ。
僕はこの日、歩けなかったからベタ足で立っていた。
でも、床は揺れていたんだ。
耐震強度問題で日本は揺れているが、その一ヶ月前に既に渋谷はその問題に直面していたんだ!

うお、会場揺れてるよ!500人前後の観客がひとつになっている!

こうしてスタートから75分のステージは幕を下ろす…はずが無い。
だって、会場にいる人はみんな、まだ一曲やっていない事を知っているからだ。

「永遠」

この曲をけなす人を見た事が無い。
音源化される前から「あの曲いいよね」と言われ続けてきた曲。
そして、今年、高田エージ初めてのソロデビューのナンバーに選ばれた曲。

"史上最強の9分間"

ここがクライマックスとなる筈だった。
でも、僕の記録音源にはまだ続きがあった。

観客のパワーがこの史上最強の時間にオマケを作った。
手を繋いだ観客が永遠を歌う。
それが終わっても、永遠を歌う人の歌声が止まない。
手拍子と歌声だけ。

シンプル・イズ・ベスト。

武道館で「永遠」を大合唱しようというプロジェクトが動いているという。
間違い無く、実現できる。
それが人のチカラですから。

ステージ上から、色んなものを受け取る事がある。
それがライブだと思っている。
だけど、この日は観客側も、自らが自らにお土産を贈り、受け取った。
そんなライブ、そうそうあるものじゃあないよ!

これを書いているいま、僕はとにかく一言言いたいのです。
「すみません、来年もう一度チャレンジさせてください!」

どれだけの人に、何が届けられるか、分からないし、自信も無いけれど、
それでも、何か書かずにはいられなかったのです。

★Set list
1.KINGのテーマ
2.BaliBelly
3.じゃらんじゃらん
4.宇宙の鼻クソ
5.BUDDY
6.Hound Dog
7.Jenny Jenny
8.Blue Suede Shoes
9.そのままでいいよ
10.King of Yeah!
11.New Orleans
12.海の男のロックンロール
13.永遠
posted by ユタカ at 18:44 | 東京 ☀ | Comment(5) | TrackBack(0) | 観客業報告書

2005年10月31日

boabeeNock 渋谷TAKE OFF7 2005.10.29

実は、この日の報告書を書く予定は最初から無かった。
理由は簡単で筆者の今年後半の執筆ペースを考えると、
もしも今回の報告書を書くことになれば
その次の報告書の予定が既に決定している(11月3日)関係で、
書く方も読む方も満足のいく代物が出来るか自信が全く無かったからなのだが。

しかし、書く気になっちまったのだから、書きます。
ライブを見に行く度に「報告書は?」と冗談まじりに聞かれる事が多かったので、
今回書くにあたって、前回はいつ書いたのだっけ?と調べてみた。
2004年6月。いつの間にか一年以上が経過していたのね。
ひとつはっきりしているのは、その時と今回が同じだったら書かなかった、って事だ。

今回のライブは、自身初企画『赤いTシャツの男!?』の大トリのステージ。
boabeeNock(以下ぼびの)というバンド自体アクの強さがウリのようなバンドであり、
類は友を呼んだか?かなりのクセ者または個性派のアーティストが彼等を含めて
6組も集結するという、なかなか無い企画になった。
やり方、表現方法は全く違うのだが、共通しているのは「音楽に体する純粋な愛情」。
愚直なまでに各々が各々の持てる力を十二分に発揮して、
会場の熱も最高潮に達していた中での登場と相成った。
責任感の強いぼびのが、他の出演者からも客席側からも絶大な期待を寄せられて
その期待にどう応える事が出来るか、興味津々の展開となった。

特に今回は二つ前に成長著しいステージアクトを見せたREMINGS、
そして技巧派でありながらキャラクターでも勝負するTone Paletteが
期待に違わぬ、もしくはそれ以上のステージの後だった。
これだけの条件が揃ったら、ホストバンドとしてはそれに負けないステージをしてシメたい所。
しかし、彼等は計算づくでこの状況を作り出し、かつ期待に応えた。

「り!マン(RE MAN)」からスタート。イントロが終わった時点で思い出した。
あ、ここは彼等のホームだったと。
ホームアンドアウエー方式で言ったら、今回のステージは彼等のホームなのである。
TAKE OFF7で沢山ライブを行ってきた彼等の音にTAKE OFF7が魔法をかけた!
実は、エフェクト関係については以前やはりTAKE OFFで彼等がライブをした時に
てる(G.)に聞いた事があったが、その時はスタッフが適当にかけていた、
というような回答だった。
今回がスタッフによる勝手な作業なのか、打ち合わせなのかそれは分からない。
しかし、効果的だったのは確か。
エコー系のエフェクトがこれでもかとばかりに細かく入る。これが効いた。
この会場ならではの音を彼等は今回のライブにそのまま投入したのだ。
「カガヤカシテクレ」から「キャニタァップ」への流れといい、テンポの全く違う曲を
うまく繋ぐ所など小技も冴える。

実は、以前もそうだった。つまりそれほどやっている事は変わっていない。
彼等のようにスタイルがはっきりしているバンドは報告書が書きづらいのは、そこなのだ。
ところが決定的に違う印象があった。力強いのだ。
彼等のやっていた音楽が今まで弱々しかった訳ではない。
ステージングが軟弱だった訳ではない。
でも先にも書いた「それほど」と。つまり少し違った訳だ。

ヒントはひとつ。小技だ。
音にしろ、動きにしろ、細かい所が計算通り、それもプレイしている側の計算通りに
効果を上げている所がひとつひとつの動きに自信を持たせたように見えるのだ。
実際自信を持ってプレイしていただろうし、堂々とした様はバンドに貫禄をつけた。
MCを遮るように「青いシゲ」を始めてしまう所などは最も分かりやすい所であって、
あれはもはや芸である。
そして、音楽、いやライブもまた「間」の生み出す空気が重要だと思わされる。
「不破」は実は僕の一番好きな曲なのだが、この世界観を作り出すのには
6分という時間が必要なのだ。その制限時間をいっぱいに使って彼等は世界を作り出す。
ぼびのの本領は実はダークサイドの方にあって、その音には凄みがあるし、
また、声を上手く使う。
ひろし(Vo.)、てる、まつ(G.)の掛け合いによるサビの迫力は、気の発勁と同じだ。
発勁は、下半身が大事なのだがそこにぬかりはない。
ケンイチ(B.)しんさん(Dr.)という、ぼびの最強のリズム隊は
ちょっとはそっとじゃ壊れやしない。そう、壊れなくなった。
セットリストの緩急の付け方もテンポなどの違いだけで作っていない。
「ゆらゆらゆ」のような何気ない曲を配置する勇気も持ってやっている。

ここまで、ドリブルも冴え、フリーキックも冴え、股抜きのスルーパスも
ノールックパスも決めてきた彼等だが、とんでもない事をやらかした。

MCでまつが言う。
「今日は折角イベントだから、一人だけステージにあがってコーラスして貰おうかな…
あーじゃ、アットランダムに選ぶから。えーと…ばーしーさん!」
客席前方大歓声。

ばーしーの名前を見て気付かれた方はこの報告書をよく読んで頂いているものと推察する。
この人、一般人ではない。
『さちの&THEカリスマ歌劇団』の"テクニシャンコーラスばーしー"その人なのである。
このライブでは観客の最前列で盛り上がっている最中だった。

これが仕込みだったのか、それとも偶然だったのか、後日確認してみないと分からない事だが、
しかし、ここまででも順調にライブを進行してきたぼびのとしては、いや、まつの一存か?
大きなサプライズを起こしたのは間違い無い。
しかも、ばーしーという人は、自らがスポットライトを浴びるとショーマンシップを"本能的に"
発揮してしまうタイプの人なのだ。
従って、偶然か必然か、まつの仕掛けたパワーボムはおそらく狙った以上の効果をもたらした。
一番正しい書き方は、偶然を必然にしてしまった、というところだな。

この日のひとつの目玉である「ぼびのTシャツ」をばーしーに着せて
(ライブ後、サイズがMであった事が判明。ここに一つの奇跡が誕生した)
猫ノリポップ「マイケル」をプレイ。会場のほとんどから猫ダンスも発生。
ぼびのは会場にあるすべてのものを使って、ライブを盛り上げる。
ばーしーはコーラスを終えて次の「都営…。」でもゴージャスな
ダンスを繰り広げて喝采を浴びていた。
あ「John」でもステージ上にいたなぁ…ものすごいコラボレーションだ。

もう既に尋常な盛り上がり様では無くなった。
彼等は延長戦に持ち込む事なく、PK戦までもつれ込むことなく、
このイベントの大成功を会場中に確信させた。
ひろしはライブ前半のMCでこう言っていた。
「…おかげさまで、最高な土曜日になる、なるのかならないのかはboabeeNock次第…(会場笑)」

最高な土曜日になったと満足しながら最後の「M・V」を聴く、見る、この幸せ感。
おっと忘れちゃいけないミラーボール。
しっかり、最後の最後に回してくれました。流石ミラーボールメン。
10曲50分、盛り沢山と呼ぶに相応しいイベントのラストを飾るライブだった。

…うーん、ぼびのはやっぱり変わった、というのとは違うな。
確かに小技が増えていたし、力強かったのも事実。更に何でもありの姿勢も事実。
そう「バンドの幅を広げた」が一番正確な表現かも知れない。
幅を広げるのは演奏の練習をするだけでは出来ない事で、とかく人間関係を大切にする、
馬鹿正直な位、真面目な人間性を持つぼびのだから広げる事が出来たのだろう。

実は謎も多いバンドで、色々な事を未確認なまま書いてしまったが、
それはおいおい分かる方が、これから先もライブに通い続けようとする向きには好都合でしょ。

そういう意味では、まだまだ切り札はきっていないバンドなのであります。
初企画、お疲れさまでした。

★set list
1.り!マン
2.カガヤカシテクレ
3.キャニタァップ
4.青いシゲ
5.不破
6.ゆらゆらゆ
7.マイケル
8.都営…。
9.John
10.M・V
posted by ユタカ at 01:06 | 東京 ☁ | Comment(5) | TrackBack(1) | 観客業報告書

2005年10月01日

Fau. 2005.9.22 渋谷TAKE OFF7

世の中には凄い人がいる。

凄い人、には数種類ある。
自らの事を凄いと分かっている人がいて、
そして、凄いという事を知らずに
凄い事をやってのける人もいる。
更に厄介な事に、
凄いという事を知らない、と見せかけて凄い事をしでかす人もいたりするのだ。

しかし、どのケースにおいても最大の問題がひとつだけ、確実に存在する。
それは、相手が「凄い!」と言ってくれるのか、どうか。
これに尽きる。

最初に書いておく。fau.って凄いのだ。
凄いのか凄くないのか?
と問われれば…答えは間違いなく「凄い」になる。
この日、出演したイベントの主催者側の紹介にはこうあった。
「ポップミュージックの天才」と。そのセンスは非凡だ。

ここで最初に戻る。
fau.は、果して自分達のしている事を凄いと思ってやっているのか。
それとも自覚していないのか。

いや、確信犯なのか。

これが現在のfau.の独特な空気を醸し出している要因となる。

持ち時間25分のライブが「キャラメル」で幕を開ける。
そのあまりにも爽やかなピアノのイントロは、
これから起きるステージ上の出来事に弾みをつけるかのよう。
このバンドの編成はVo. P. G.にサポートでDr.とB.の5名。
そう、この編成も実はfau.という独特さの原因でもある。

リズム隊の二人がサポートメンバーであるという事。
バンドとしてはサポートメンバーであるDr.のたなかっち、そしてB.のizupomに、
ある意味でバンドのサウンドを委ねる事になる。
しかし、ステージの音は打ち込みプラス生音。
プログラミング及び編曲のある程度の割合はG.のmori.がコントロールしている。
これをリハーサルで調整してライブで音を出す、という過程を経る。
この調整能力、パワーバランス、がfau.のfau.たる所以。
この形態のグループはライブをやる前の時点で、
ライブの成功率の何パーセントかは既に決定しているわけだが、
fau.はその割合に「ゆらぎの部分」がある。

さて曲はそのまま「夕暮れの街」へと続く。
普遍的なサウンドテーマが心地良いバラッド。
そしてこういうタイプの曲をギタリストが作った、という事に驚く。
ポップミュージックの、いわゆる"コツ"を体得しているコンポーザーであり
アレンジャーだと言える。
そして、ポップを愛しているのだなと思える音だ。
個人的に僕は、1980年代後半から'90年代前半のポップを好むが、
特に'80年代をよく知る人には、ニヤリとしてしまうようなエッセンスが
凝縮されていたりする。
ふーん、これをギタリストが作る時代なんだ、いまは。
感心するしかない。
ところが実はその一方で、
当の本人が弾くギターは現代のロックだったりする。
これもfau.だ。

2曲終わって、一息。MCに入る。
MCはどうやら、事前に組み立てが打ち合わせられていて、
しかもネタになっている事が多いようだ。
この日は、メンバー全員にfau.の中で一番好きな曲を聞いていくと、
実は全員が、次にやる曲である「カメロック」が好きだというもの。
以前には、メンバーの好きな曲というフリで全員がハードロック、
しかもその一節を演奏するという事もしていたし、ネタは好きらしい。
というよりも、考えるのが好きなのだろう。
考えた事について、テンションが上がってしまって
テンションの趣くままに、ある部分は天然のまま実践してしまうという。
この音とのギャップがメンバーのキャラクターの部分という事になる。

そう思っているうちに「君と花火」へ。
会場全体に浸透する切ない空気。
とにかく、バンドの音と、Vo.のai.の声の相性が良い。
そしてその声は、並んでピアノを弾き、歌うemi.の声とも相性が良い。
つまり、二人のヴォーカルはバンドの音と相性が良い。
fau.はこの三人だからこそ、意味がある、と感じる瞬間でもある。

持ち時間が少ない事を自覚しているのか、
この日のfau.は出来るだけ曲を繋げてプレイしようとしていた。
「炭酸」って、まさに「作りましたっ」って曲だと思う。
いや、他の楽曲にもそれは言えるのだが、
言葉の乗せ方がうまいし、また、その譜割りも巧い。
fau.は充分、凄い。

彼等は、その凄さを自覚して楽曲を作っている。
そして、その凄さは伝わっている。説得力のある作品が揃っている。
佇まいとのギャップも充分。今は、それで面白い。
もし、そのギャップまでもが自覚してやっているのならば、
ちょっと計算し過ぎだけどサ。

さて、そんな持ち時間を気にしてプレイしてたfau.だが、
「もう最後の曲です」とai.が言っていたのは、開始27分過ぎ。
ああ計算違い。
でも、それは確信犯?
だって持ち時間25分で普通6曲は入れないと思うのだけど。

その不思議なバランス感覚が…感覚そのものをfau.と名付ければ良いのか。
オリジナルメンバー3名+サポートメンバー2名。
しかし、それはもう「自転車日和」を見ていれば分かるでしょう。
fau.って5人なのよ。間違い無く。
昔からずっとそうであったかのように。

そして。

これからもずっと不動のメンバーでプレイするんじゃないか、と思えるほどに。

「最強の5人」を目指す事の出来るメンバー。
その運の良さ。そして才能やセンス。それは大切にして欲しい。
いま足りないものがあるとすれば「気」の送り方だけ。
でもそれは今すぐ必要なものじゃない。時間を好きなだけかけていい。


「自転車日和」のエンディングは、スタジアム級のスケールが一瞬フラッシュした。
ポップとは、伝わる事。
あなた達には、伝えるチカラは充分に備わっている。
そのあまりにも「曖昧な能力」をいつまでも失いませんように。

★set list
1.キャラメル
2.夕暮れの街
3.カメロック
4.君と花火
5.炭酸
6.自転車日和
posted by ユタカ at 15:10 | 東京 ☀ | Comment(2) | TrackBack(1) | 観客業報告書

2005年09月09日

Goro(Band) 2005.8.26 渋谷TAKE OFF7

この人の紹介文を書く機会があって、僕は「ワタアメのような人」と書いた。
物腰の柔らかさ、声の柔らかさ。見た目も柔らかそう。
でも、その中に物凄く強い所が存在する。
もっと上手い表現があったと思うんだけど、
柔らかいだけじゃなくて「甘い」ので、ワタアメにした。
ただ、どうしても「強い部分」が割り箸になっちゃった所に反省材料はあるのだが。

本人曰く「年に一、二度しかやらない」バンドバージョンでのライブ。
六本木EDGEで行われたGoro本人のバースデイライブが一回目。それ以来。
失礼な話だが、僕はこのEDGEのライブをあまりよく覚えていない。
理由は分からない。
今回のライブを見ていて、
なぜあのライブを覚えていなかったのかが、僕自身分からない。
今年一月のこのライブの日、
僕が違うアーティストのライブを見に行ったのが原因なのか。
それなら、はからずもライブは間違い無く「人」から、という検証になったわけだ。
あれから7ヶ月。

イントロから「行くぞ!」の声で「innocent sign」ライブスタート。
バンド編成は、g./b./dr./key./vo.の5人編成。
目新しさは感じないが、しかしポップミュージックにそれは不要。
それよりも、安定した演奏の方が求められる。このバンドには、安定感がある。
弾き語りの時よりも、雄々しく聴こえるボーカル。
その融合は見ていて聴いていて心地よい。
「あなたのせい」が始まる。
イントロとMCをかぶせるというスタイルは懐かしさを感じるなあ。
面白い事を言ったわけでもないのに客席から笑いが起きたのはそのせいか。
この歌は、僕が彼の歌の中で一番最初に覚えた歌だ。耳に残る曲、メロディライン。
自ら「名曲だよ」と言うのも頷ける。
この日のGoroは声の調子が相当良かったのではないだろうか。伸びもツヤもある。
そして、声量もある。
それは弾き語りの時から感じていた事だが、歌が上手い。
もしくは、上手く聴こえる(笑)
この曲で絡むkey.のLOVEMARTの声とのコンビネーションは絶品。

MCでは、適当に客席からイジられる。
不思議な事だが、これだけカッコつける曲を演るタイプの人としては
珍しいくらい、客席からイジられる。特段ボケている訳でもない。
本人には恐らくイジられている自覚も無いのかも。だって嬉しそうだ。

「lie」"嘘"ではなくて"横たわる"の方。
バンド、いいなあ。圧倒的な存在感を感じるバラード。
何か特別に変わった事をしているようには見えないのだが、バンドのアレンジが荘厳。
本人の依頼なのか、リハーサルで作り上げたのか、すごく興味の湧く音だ。
次の「Stereotype」につながらMCを聞いていると、
プログラムとMCの関係を大切に構成にする人だなと思える。
関連づけをしっかりしようとする人は、
感覚で生きているように見えても立派な理論家だ。
バンドとのリハーサルをやっていても、彼の頭には目指す音が構築出来ているのだろう。

僕はこの人は「感覚の天才」として扱っていいのだと思う。
それは直感だけで行動する行き当たりばったりな人、とは明らかに違う。
自由人、とも違うんだよなあ。
彼は愛される人だし、恐らく羨望のまなざしでも見られる人だ。
限り無く、無秩序に自由に生きているように動いているように見える。
けれども、そこには彼にしか分からない法則が間違い無く存在するのだ。

その象徴が最後にやった「キールマンソーウ」このタイトルには意味は存在しない。
この天から降って来た言葉を上手く操って、ファンクでポップな楽曲を作り上げる。
このタイプの曲でも"柔らかくて甘い声"はバックに負ける事なく響き渡る。
こういうタイプの曲をもっとやっても良さそうな気もするが、
最後にポン!と持って来たから効果的だったのかも知れない。
とすれば、これも構成の妙、という事になる。
それにしても、このバンド。
普段は全く別々の活動をしているようだが、
この組み合わせはそうそうない演奏を聴かせてくれたと思う。
後日、ほとんど同じメンバーが違う人のバックをやっているのを見て
更にそれは間違った感覚では無い事を再確認できた。

こういうライブをやっていて、バンド編成のライブが年に一、二回というのは
少々勿体無いと思うのは僕だけじゃあ、ないだろう。

後日Goro本人に、どうしてもぶつけてみたかった質問をしてみた。

「弾き語りとバンド、どっちが好き?」
この人の性格から推測していた答えは「どちらも」
ところがこの人は「どちらでも」のようだ。
どちらでも、歌っていて気持ち良い。

ただのダーツ好きかと思っていたら、とんでもない。
音楽にどっぷり頭まで浸かっているミュージシャンなのでした。

★set list
1.innocent sign
2.あなたのせい
3.lie
4.Stereotype
5.キールマンソーウ
posted by ユタカ at 16:46 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 観客業報告書

2005年09月03日

さちの&Theカリスマ歌劇団 原宿ルイード 2005.8.24

もしかしたら、これぐらいの時間帯では最強の域に入って来たかも知れない。
40分という枠で見せられるものを「上手く」見せたライブだった。
歌、コント、MCの栄養バランスが絶妙に配置された「極上のすいか」ライブ。

しかしコントのネタが尽きない。本当にお笑い好きの面目躍如なのである。
ただし、そのネタは全て「ばーしー」が昔「さちの」だったというオチなのだ。
それを客席が把握している、という光景はもう驚きでは無くなって来た。
今月で4ヶ月目…5月からマンスリーで展開してきたライブの効果があったのだろう。
そのライブのトップでしか展開しない(60分は別だったが)このコントの為に
"本物のすいか"とか"普段よりも大きいリーゼント"を用意してしまう所が
このバンドが「バンドらしくない」最大の要因である。
しっかし、本当に大きなかりんとう、いや違った、リーゼントだったなあ。

実は、マンスリーでライブ展開して4ヶ月目ではあるが、
今回はバンドとして大きな転換があった。
バンドの要である、ドラムとベースがメンバー交代していたのである。

大袈裟に書くとこのパートの人間が違う、
という事は「別のバンド」になってしまう可能性も充分にあったという事なのだ。
メンバー交代は実は前回のライブの時点で決定して居たため、
このバンドは8月のライブを休んでしまっても致し方の無い「理由」を持っていた。
それでも、7月の時点で決っていた今回のライブを決行する事を前提に彼等は動いた。
しかもライブの出来るレベルまでバンドを鍛える事までも前提として。
1ヶ月の間にオーディションからリハーサルまで。
しかも「色んな事をするライブ」のリハーサルだ。
加入するメンバーも、加入させるバンドも、それ相応の覚悟を持って臨んだ筈である。
そのバンドの意地が炸裂した。

結論から書くと、この時点では上手く行っているだろう。
ドラムのりゅう、ベースのそねっとの新加入により、
このバンドの音はロック寄りの音になった。

このバンドのバンマスはギターのたかみつである。この人はファンク寄りだ。
しかし、たかみつは『フライングV』というロックの象徴のような
ギターを持ち出して来たし、その化学反応は良い方に出たと思っていて良いのだろう。
「シートベルト」などのミドルテンポの曲では、りゅうはかなりの安定感を見せた。
そねっとに至っては、前任者からキャラクターも引き継いだらしい。
メンバー紹介で「やきそばパンを買いに行かされるタイプ」と紹介されて
直後に「やきそばパン」を出すというベタなアイデアを
自分で考えたという所はかなり将来有望。
「A bog」ではメガネを飛ばしての熱演も。
このパフォーマンスは今後レギュラー化を希望する声もありそうだ。
今回はメンバー紹介も時間をかけて。
メンバーソロも堪能出来て、一曲にカウント出来るシロモノ。

内容が相当な盛り沢山である事は、バンド側も後で気付いたのではないか。
座長なかじが「改めてようこそ!原宿ルイ−ドへ!」と言ったのはなんと、
ライブスタート後、30分を過ぎる時点での事だ。
このライブ、MCが入ったのも4曲目の「A bog」終了後の一度である。
音楽中心のライブへと確実に変化した一面を見せている構成だ。

そして、このライブは5曲で終了する事になる。
そこに物足りなさを感じさせない展開で進行してくる実力はもっているのだが、
曲数が少ない、と思わせないのはまた別のチカラだ。
バンドが最後に選んだのは「ファミレス最終回」。
名曲の呼び声の高いこの曲がプレイされたのは、昨年12月以来だった。
コアなファンもきっと喜んだ事だろう。
それを充分意識した選曲であった事は終了後にメンバーがコメントしている。
相変わらずサービス精神旺盛なグループである。

忘れていけないのは前回のライブに引き続き、
今回のライブもブッキング、彼等以外はプロ、なのである。
互角に太刀打ちしているのは、進化の証しだ。


それにしても笑いの原点が「素」である事を再確認させてくれたのは座長なかじ。
ライブが終わってから、演目の書いてある「めくり」をめくるのは反則だろう。

そもそも、音楽のライブには「めくり」はあり得ない。
このバンドだけが、めくりの主、"なまけたろう"と共に必要としているのである。

★set list
1.スペア木
2.シートベルト
3.ナ・ニ・モ・ノ
4.A bog
5.ファミレス最終回
posted by ユタカ at 17:19 | 東京 🌁 | Comment(2) | TrackBack(0) | 観客業報告書

2005年08月24日

ワタナベカズヒロ 川崎セルビアンナイト 2005.8.13

私事だが、僕が観客業を始めて、恐らくかなり始めの方で「こりゃスゲエや!」
と思ったアーティストがワタナベである。
その思いはライブを見る度に強くなり、
それは彼等の2nd mini Album「銀色」の帯コピーを書く、というひとつの形になった。
その時に僕が書いたのは

「ロックのフリをしたその音で、今は感動しろ。それで充分だ。」

当時、バンドの意とする所を汲んでくれたと感謝して頂いた。
とても嬉しかった事を覚えているし、
ポスターというものを飾る趣味の無い僕の部屋には
発売から一年以上経過した今も「銀色」のポスターが飾られている。

しかし、その間にバンド「ワタナベ」はメンバー2名が脱退。
バンドとして活動すらままならない状態になった。
今年の1月にボーカルのワタナベカズヒロが
アコースティックで弾き語りをやった時に見たが、
ソロで、しかも曰く「電気仕掛け大好き」な彼が弾き語り…
まさかこのまま?とも思った。
それから7ヶ月振りに見たワタナベカズヒロ。それもバンドスタイル。
残念ながらその第一弾は見逃したが、今回のライブで彼が見せた色んなモノは、
ライブそのものもさる事ながら、僕を感動させるに充分だった。

それは一曲目の「さめない熱」が始まった途端に来た。
明らかに違ったのは、その音の重量。一段と重たくなっている。
以前のワタナベの時点で絶妙なバランスを保っていたと思われていたのに、
その重さが数倍になったというのに、ボーカルがそれに負けていない。

結論、ド迫力。

今までの活動を見る限り、見切り発車をするような人ではない。
という事は、この重さは作り上げたものだろう。
以前の音が細かいジャブを、
それも高速で次から次へと打ち出すものであったとするならば、
今回のは問答無用の一発パンチだ。
その感覚は次の「残光」で確信に変わる。

"新曲"として提示されたその曲は、
間違い無くワタナベカズヒロの「今のボーカルスタイル」が作り上げた世界なのである。
元々絶唱タイプのボーカリストでありながら、独特の浮遊感があったそのスタイルは、
更に太い芯棒が加わり、揺るぎない意志や想いを伝える為のものになっていた。
驚く間も無く「コナゴナ」が始まる。
前作「砂の太陽」で衝撃を与えたこの曲は、
構成もアレンジも変わっていないのに説得力を増したと感じさせるのは
その音と歌の一体感によるものなのか。

そういう音をぶつけておいて、
MCでは、彼が今回のハコであるセルビアンナイトを大好きな理由が、
トイレが高級ウォシュレットだから、と語ってしまうこの落差。
更に語ろうとしてサポートメンバーに止められるというボケ振りも絶好調。

そして後半戦「翼」へと。
冒頭に引用させて頂いたが「電気仕掛け大好き」なのである、この人は。
いきなり加工されたリズムパターンが同期でスタートする。

思えば、こういったギミックにアレルギーの無いバンドだった。
本格的なロックスタイルのように見えて、そうではないな、
と僕が以前から感じていたのはこういう部分であり、しかも以前は同期ではなく、
それをナマでやろうとしていたからだ。
アレンジにしても細かく、
そして出来るだけ「ハズしたタイミング」でブレイクを入れてくるなど、
とにかくワザとストライクゾーンを外してくるその感性が面白い、
そして、それが「もうひとつのストライクゾーン」を作り出すグループだった。
驚かされるのは、以前の小細工とも言えるそのアレンジは踏襲しながらも
同期というギミックを、平気な顔してライブでも披露するようになった事だ。
音源では既にその片鱗は見せていたが、ライブでも再現するとなると手間もかかる。
違う方面の神経も使う。しかし、新生ワタナベはその道を選択した。

更に「何でもあり」へと進化していたのだ。

そして「RIGHT HERE RIGHT NOW」アコースティックライブをやるようになってから、
彼はこの初期の曲をよくやるようになった、という印象を持っている。
それはノスタルジーではなくて、この曲の持つパワーを再発見したのだろうし、
ここに「これから」を見つける事が出来たからだろう。
それは最初にやった「さめない熱」も同様である。

このライブ、ここまで実は「銀色」からの曲は無かった。
今までの変化を見て、僕は勝手に過去からの脱却を図る手段なのかと思っていた。
「銀色」にかけた熱意は、僕は「砂の太陽」やそれ以前の作品を凌ぐものと考えていたからである。

しかしそれは間違いだった事が分かる。
最後にやったのは「道」。その「銀色」のトップに収められていた楽曲だ。

いや、それは間違いじゃ無かったかも知れない。
「道」はあくまでも、未来を歌った曲だからだ。

このタイミングのライブでの絶妙なセットリストだった。
僕がワタナベを好きなのは、これだけ考えさせてくれるからなのだ。
落ち着いて見れば、彼は元々ライブで新曲をプレイし尽くし、練り上げてから
新作に収録するスタイルなので、新曲がセットリストに占める割合は高い。
それだけの事、だったのかも知れないが。

しかし、以前のワタナベを排除する事なく、
更に確固としたスタイルを作り上げようという
強い意志は間違いなく存在した。そして、それを僕は支持出来る。
現時点で、新作のコピーを書くのなら、
「それで、マチガイナイ。」かな。お粗末。


その音が更なる感動を呼ぶ音になる予感は、充分にある。

★set list
1.さめない熱
2.残光
3.コナゴナ
4.翼
5.RIGHT HERE RIGHT NOW
6.道
posted by ユタカ at 01:17 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | 観客業報告書

2005年08月21日

THE☆ダーティスナフキンズ 西荻TURNING 2005.8.12

バンド活動の一環で「音源(主にCD)」がある。
それをバンドは名刺代わりにファンに聴いて貰う事で
(時には無料配布という方法でファン以外にも聴いて貰う事で)バンドを知って貰おうとする。
ライブ会場から持って帰って聴いて貰えればなお良し。
ライブをやる事によって、音源には無い付加価値を見て貰って、新たに支持を得る。
という事はライブを見て貰う事によって、バンドの音源以外の魅力を感じ取って貰う。
ファン側の"ツボ"を刺激するライブをやりたい。バンド側はそう考える。
この"ツボ"バンドは勿論、ファンによっても全く場所も効果も違う。
だからライブは難しいのであって、バンドはこの部分に最も苦しむのだ。
で、今回のTHE☆ダーティスナフキンズ(以下スナフキンズ)だ。
彼等は自分の事をよく分かってライブをやっている。そして見せ方を知っているのだ。

「デモリッション」でスタートしたライブ。この曲の頭の部分でKENZO(Vo.)は
ほぼ同じリズム、ほぼ同じテンポの、あのQUEENの「We Will Rock You」を披露。
一気に観客を掴んだ。その時、スナフキンズのメンバーは全員ヒゲをつけていた!
実はライブの前日にバンドのホームページにこの曲の歌詞がアップされていた。
つまり、あまり人前でやっていない曲、もしかすると新曲だったという事だ。
誰でも知らない曲より知っている曲の方が入り込み易い。これは分かる。
思い付く、までは結構大人数なのだ。しかし、実行に移すのはごくわずか。
バンドは、この"ごくわずか"に入る、感性と行動力を持っている。
それにしても叶(B.)のヒゲ面はフレディによく似ている。
後でMCのネタになったぐらいに。
そういうおマケも込みで盛り上がり「愛情ROCKでGo!Go!!Go!!」へとなだれ込む。

バンドとしての形態はDr.G.B.Vo.+オケ同期。
現代は、この形態はバンドのひとつのジャンルとして定着しているようである。
それも、形態のジャンルであって音楽のジャンルはバラバラという所が面白い。
このスタイルを選ぶ人たちに共通しているのは、センスではない。感性だ。
KENZOの行動力に対する感性とは違う感性を持ったメンバーがいる。
それがリーダーのHaruyama"K2PT"Kenji(G.)だ。
彼の作り出す音楽はポップだ。それは、支持される楽曲、を意味する。
支持される、伝わる音楽…これはポップミュージックなのだ。

そしてHaruyamaと並んで、この楽曲達を「ロックに仕立て上げる」感性を持ったメンバーがいる。
それがトシヤ(dr.)だ。二人とも、その音(音色を含む)、独特の間がロックなのだ。
そして叶が二人の繋ぎ役となり、その上にKENZOが乗るのだ。
この三人の神輿に乗るKENZOが調子に乗りやすい環境に居るのは当然だろう。
ポップをロックに聴かせるその手法が最も上手くいっているのが、
次にやった「侍-SAMURAI」。
この曲は松戸競輪のテーマソングになっていて全選手入場時にこの曲がかかるという。
かけ声と共にテンションのあがる音楽だ。歌謡曲とロックのハーフである。

ここまで書くと、物凄く演奏の上手なバンドに思える。
恐らく本人達は自覚していると思うが、
決してスゴイテクニックを持ったバンドではない。
でも、それはバンドとして、現時点で大した問題ではない。
ここでいきなり話しは最初に戻るのだが、「音源」は録音をし直す事が出来る。
つまりはライブがそれほど上手くなくても音源の良いバンドって、沢山存在するのだ。
逆に録音の仕方(技術)がよく分からないという理由で、
ライブを見て喜んでCDを手に入れてガッカリ、というケースもあるのだけど。
個人的意見だが、インディーズレベルで両方で「同じ満足」を与えるのは不可能だと僕は考えている。
しかし、両方で満足は与えたい。それなら、違う種類の満足を目指すしかない。

スナフキンズはそれが出来るバンドだ。
例えばKENZOのボーカル。
彼は歌の2割、下手すると3割は客を煽動する事に費やしている。
これはかなり「歌ってはいない」という事である。
曲によっては、彼は歌っていない。ライブを盛り上げる事に没頭している。
没頭している間に終わってしまった(!)
「日本VSアメリカ」に続いて「不思議ジュース」。
ファンク色の強いこの曲では、更にHaruyamaのギターも冴える。
そしてKENZOは盛り上げ作業に更に没頭する。
凄いのは、その彼等の作業が無駄になっていない所だ。

ライブハウスの中は満員。その全体が盛り上がっている。しかもまんべんなく。
という事は、彼等は他のバンドのライブを身に来たお客さんを味方につけたワケだ。
決して楽曲中心ではなく、かといってキャラクターだけで押しまくったわけでもなく。
それで会場をあたかもスナフキンズファン一色、
のように仕立て上げたのはバンドの手腕の賜物だろう。
唯一キャラクター先行と思われていたKENZOが、
実は曲間のMCを2度…いや、ほぼ1度しかとっていない事からもそれは分かる。
彼は喋りで盛り上げているのではなく、あくまでも音楽で盛り上げているのだ。
最終的に音楽で盛り上げようというバンドの意図は的中しているのだと推測できる。

もちろん、ライブの前の日に「のぼり(旗)」を書いて来て、
ライブハウスの天井の高さに合わなくてたてられないとか、
ネタになるような事も随所にやらかしているのだけど!
それにしてものぼりの台座6,500円はマジか?…だとしたら彼等、楽しみ過ぎである。

そしてライブ終盤、更に畳み掛けてくる。
彼等の代表曲とも言える曲を2曲、全身全霊で客席にぶつけてくる。
「蝉時雨」…この曲だけでスナフキンズ独特の世界観が全て分かる、と言い切れる。
ここが観客とバンドを繋ぐ入り口となるような曲だ。
この日本語独特の世界観である"侘び寂び"を具現化した
"蝉時雨"という単語を使ったロックなんてそうそう聴けるものじゃあないぜ!
しかし逆に、僕が彼等をロックバンドと呼ばないのは、まさにこの曲があるからで、
これは立派な歌謡曲なのである。
ただ、ロックというジャンルは非常に分りやすい。
スナフキンズは色んな種類の音楽を
「ロックのように聴かせる、見せる」バンドなのである。
そして、そうする事によって客席と一体化出来るのだ。
一体化した所でとどめの一撃!「グルグルマワル」最後の最後までテンションはあがり続ける。
でも、その中にはしっかりと緩急がついているのだ。だから疲れない。

40分弱の中に7曲。おまけにMC付き。お買得ですよ、お客さん!
これだけのドタバタぶりを見せながら、更にカッコイイというのは、ズルいだろ?

★set list
1.デモリッション
2.愛情ROCKでGo!Go!!Go!!
3.侍-SAMURAI
4.日本VSアメリカ
5.不思議ジュース
6.蝉時雨
7.グルグルマワル
posted by ユタカ at 12:55 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | 観客業報告書

2005年07月29日

のんち(TEAM☆のんち☆) 渋谷TAKE OFF7 2005.7.27

現在僕の知り得るレベルでは、最も忙しいと思われる人物の一人である。
世の為、自分の為に、日々イベント・ライブで飛び回っている人だ。
そんなに忙しいのに、ワンマンライブ…いや、ワンマンショーをやるという。
これは見てみたいじゃないか。
ワンマンショーのタイトルは「のんちの三時間十分」。

三時間十分。190分。要は超のつく長時間。
ライブをやった事のある人は、まずいつもの持ち時間について、
やった事の無い人は、バイトや仕事の時間でいい、想像して欲しい。
短くは無いだろう?

この時間枠を与えられた時に、これをどう構成するか。
ここで大袈裟に書くと、その人のスケールが出る。
構成だって、立派な表現の手段なのだ。30分なら何とか出来る…一時間くらいなら…。
これを読んでいる人はどの位の時間ならば、与えられてもうろたえないだろうか。
殆どの人は一時間を充実した内容で飽きさせない、という行為が
どれだけ難しいのかを知る事になる。

時間とは信頼と同義だと思えばいい。
長い時間を任せる事が出来る人物は、信頼できる。
信頼出来るから、だんだん与える時間枠が増えるのだ。
時間枠が増えない人がいる?それは多分違う。
時間枠が小さい…その人が信頼のおける人物ならば、
それはレギュラー化しているはずだ。そう、その期間が長くなるのである。
時間を与えて貰うのは喜ばしい事、喜ぶべき事なのだ。

その喜ぶべき所で…いや、喜んでから困惑するモノなのだが。

さて、ではのんちの場合はどうか。
彼は「出ずっぱり」という方法を選んだ。
メインである、彼自身のライブがスタートしたのは20:25だった。
イベント全体のスタートは18:30。
前の115分を、彼は彼の周囲にいる仲間のミュージシャンとの共演に充て、
残りの85分をメインライブパフォーマンスに充てた。
要するに、三時間十分、出演したワケだ。実にタフな人である。
なお、賢明な読者の方は115+85は200分になるという事は既にご存じだろう。
ロスタイムもしっかりとあった、という事だ。

「oh no 渚のチェインパイン」でライブのスタートを切る前に彼はこう言った。
「本気でやります。本気でノッて下さい」
当然の事だが、別にそれまでが本気じゃなかったワケじゃない。
彼はギターを弾き、歌い、コーラスをとり、挙句の果てにはドラムまで叩いた。
まさにフル回転の後の、メインライブ。ここで更にひとつ気合いを入れたのだ。

バンド"TEAM☆のんち☆"がライブを盛り上げる。
「風に甘えるなら」のイントロでのんちはスパートモードに切り替わる。
更にマキシシングルにもなっている「skyrider」へ。その勢いは増すばかりだ。
基本的にファンク寄りのサウンドをウリにしているという印象だったので、
これは織り込み済ではある。
しかしイベント開始2時間を過ぎてこのテンションは、やはりプロのそれである。
初めて、のんちのライブを見てから、この日まで半年とちょっと。
バンドバージョンでのライブに限ると、もっと短い。
それらのステージは、殆どが30〜40分のもので、
そのイメージは一気呵成に駆け抜けるというものだ。
しかし、この日は最終的に彼は85分間ライブをやった。
それでも彼は駆け抜ける事にしたのか、それとも違うのか。

愚問だが、この信頼のおける男は違う組み立てを用意していた。

それが、バラードの存在である。緩急をつけたステージ展開を彼は披露したのだ。
勢いだけじゃなく、ファンクだけじゃなく、音だけじゃなく。
そのもうひとつの、語られてはいるものの、なかなか披露されないもの。
それが、彼の持つ「言葉」である。
彼と会話をした事のある人だけでなく、そのライブでのMCを見た事のある人は
彼が雄弁な人物である事は既に承知している事だろう。

しかし、彼の歌詞はただ雄弁なのではない。
言葉数や、語呂や、意味を全部ひっくるめて、伝わる言葉なのだ。
僕はファンクというノリは好きだが、ノリだけで良ければ、
言葉の分からない洋楽を聴けば良い、という事になっちまう。
時折使用される英語も含めて、言葉は非常に大事にされている。
だから、ただノー天気に明るいだけじゃない。
そこにはちゃんと、適度な湿度も存在するのだ。

「sweer summer rain」に続いて「そうだ夏だった」はその歌詞の意味を伝え、
そして通常の短時間ライブではハナを切る事の多い「put a smile」は
それ以上に言葉のリズムが前に出る。
この曲の前では「限界を超えました」のMCも、
曲が始まってしまえばステージ上でのジャンプ炸裂!
数十cmのジャンプが、スカイウォーク並のスケールに見える。
のんちは、マジシャンのような多様さをもってステージ、会場の気温を上げていく事が出来るのだ。
りお(from R.I.O)をフィーチャリングした「二人の虹」は、
R.I.Oでのナンバーなのに、のんちのカラーをしっかりと出す。
その声にも存在感はあり、ライター、プレイヤーとしてだけではない、
ボーカリストとしての実力も見せ付ける。欲張りな人だ。
「白い呼吸」「矢印はさよならを指す」とたたみかけて、
「Blue Moon」へ。

「この曲は僕にとって大事な曲。何故なら友人の何人かが良い曲だと言ってくれたから」

何人か、どころではない。名曲扱いである。音源化を望む声も多い。
淡々と始まるのに、最後にどうしてこんなに感情的になるのだろう。
そういう曲の多い人ではあるが、
それにしても感情をコントロール出来る術を身に付けている。

勿論、ワンマンショーなのだ。これで終わってよいワケが無い。
アンコールで再度ステージに登場した彼が、何をやるのか興味あったんだよなあ。
実は、僕個人は「Blue Moon」こそ最後の最後にやるべき楽曲だと思っていたので、
本編であっさりとその"切り札的存在"を見せたのには少々驚いていたのだ。

で、やったのが「逢いたい時に逢わなくていつ逢うの」。
ああそうか、コレがあったのか。
この何気ないというか、限りなく普通のフレーズが
のんちにかかると、立派な歌詞になる。これがスゴイ事なのだ。

そしてダメ押しが「A〜A〜A〜」
僕は、いつもこの観客業報告書を書く時に、セットリストを出演者に
リクエストするのだが、こういうタイトルだとは思わなかった(笑)
イベント前半に出演したアーティストから
ギタリストをステージ上に上げるだけ上げて、ボーカルを上げるだけ上げて。
そしてもちろん、テンションはアゲるだけアゲて。

お祭り騒ぎもいいトコだ。
酒池肉林、阿鼻叫喚の中、85分間、超弩級のライブ「のんちの三時間十分」は
その幕を下したのである。

これからも彼は、ギターを弾き、歌を歌い、歌詞を書き、
あ、それからラジオでは喋るだけ喋る事だろう。
才能のある人は、その才能を惜しみ無く、バラ撒き続けて欲しい。

素人の僕からのリクエストは、ただ、それだけである。

★set list
1.oh no 渚のチェインパイン
2.風に甘えるなら
3.skyrider
4.sweet summer rain
5.そうだ夏だった
6.put a smile
7.二人の虹
8.白い呼吸
9.矢印はさよならを指す
10.Blue Moon

encore
1.逢いたい時に逢わなくていつ逢うの
2.A〜A〜A?
posted by ユタカ at 19:13 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(1) | 観客業報告書

2005年07月25日

さちの&Theカリスマ歌劇団 渋谷club asia 2005.7.19

私事的な事から入っても構わなければ、この『観客業報告書』は丸5ヶ月ぶりの執筆だ。そんな言葉は無いだろうが『観客勘』というものが、今回ライブを見る時にどう働くのか。
これは不安だったし、自分自身に対しても半信半疑だった部分がある。もしも、以前よりも劣っていると感じた読者がいらしたら、それは時間が解決してくれる筈のものであるから、少し僕に時間をくれ(笑)


インサイドワーク。これがライブの出来不出来に大きく関わる要素であると再認識させられたライブ。
そして、それはこのバンドには必要不可欠な能力なのだと、確信したライブ。
普段の人間関係から言っても、
僕が立ち位置的に最も距離が近いのはこのバンドだろう。
ただし、近いからと言って理解しているとは限らない。そういうものなんだね。

今回の渋谷エイジアで行われたライブは『CROSSOVER POTENTIAL』というイベントの中でのもの。
この日出演したバンドは、カリスマ歌劇団の他にもいわゆる「エンターテイメント系・パーティ系」のもので、しかも独りよがりのものではなく、レベルの高い面子が揃っていた。
しかも、直前に出演したグループが、かなり強烈なキャラクターでウケも良かった為、
トリで出演する歌劇団は、かなりいつもと違う空気の会場と向かい合う事になった。
過去にもDeSeOなど渋谷でのライブ経験はあるが、ほとんど新宿MARZがホームという状態のバンドにとって、これは苦労するライブになるのではないか、というのが僕の予想だった。

そんな僕の予想に反して、全くいつも通りにライブはスタート。
いつものように「ウイリアム・テル序曲」で始まり、オープニングの芝居は家族で海水浴、をテーマにしたもの。
今回はライブ前から「エイジアって広いんだよねー」という事で喜んでいたメンバー。
確かに前回のライブ会場(6月18日柏zax)では、メンバー同士がステージ上で相手をかわしながらのステージングだった事を考えるとそりゃ嬉しいよなー。
でも、メンバーはただ喜んでいただけではなかった。会場の造りも同時に頭に叩き込んでいたのだ。
ステージの両サイドから会場後部に向かって階段があり、
上のフロアに移動出来る造り。
その、上のフロアから息子役のなかじ(勿論、母親はばーしー)が登場した時点で、彼等は彼等のペースを掴もうとしていた。

このライブ音で勝負に行ったら、他の出演者に食われるなと思っていた。
イベントだから、食い荒らさなくても、
食われるのは埋没を意味する。ソレはあまりよろしくない。
存在感をしっかりと出す必要はあった。だからこのオープニングの仕掛けは成功したと言える。
会場全体を使う試みはMARZなどでもトライしていたが、更に研究は進んでいた訳だ。
例によって、昔はバンドボーカルだったというさちの(ばーしー)が、昔はライブが忙しくて、海水浴にも行けなかったのにビキニだけが増えていった…というエピソードから「スペア木」で本編スタート。
この曲は完全にトップに定着したんだな。
ライブ終了後、さちのが「今までのアクシデントはアクシデントじゃない」と思わず言ったほど今回のライブ、実は、細かいミスとトラブルがバンドを襲っていた。

その中で、頼りになった存在がいる。それが座長のなかじだ。

ここ数回のライブではばーしーがメインを張る活躍を見せていた。なかじはフォローに回る事が多かった。その裏でこの芸達者はステージを支えつつ、冷静に全体を把握していたのである。
元々、このコーラス隊は通常のバンドから見れば異質な存在であり、そして彼等がライブ進行のカギを握るというのは、更にその異質度を高めている。

唐突だが「面白い人」がいる。普段から話しの面白い人。
何かと人前で芸をやってウケる人。
では「面白い人」は「面白い芸人」になれるのか。僕の持論では答えはノーだ。
「面白い芸人」はインサイドワークが出来ないと客からはウケない。
では、インサイドワークを分りやすく表現すると、具体的にどういう事なのか。
それが「場の空気を読む、掴む、利用する」という事だ。そして、それは会場の隅々まで見ていないと実現不可能である。相手(観客)の出方が分からないからだ。
(これに関しては、一点を集中して見る、という全く逆のやり方もある)

「ナ・ニ・モ・ノ」の頭では、たかみつのギターの弦が切れていた為に、演奏がストップした。
なかじはコレをよく見ていた。間髪入れずにMCをスタートしたのだ。
そのタイミングがすごい。最初からここで演奏はストップする演出になっていたのではないかと見まがうほどのテンポの良さだった。これだけでこのライブのMVPに値する。
ここでメンバーが慌てたらライブは崩壊していたかも知れない。しかし、それを見事に食い止めたばかりかバンド全体に「何が起きても私達は大丈夫なのだ」という安心感も与えた。
この「ナ・ニ・モ・ノ」から次の曲の「A bog」につなぐまでに、彼等は14分余りを割いている。
これはライブが終了してから気付いた事であって、本番中にそんな事は感じさせない。
改めて「座長」の面目躍如である。
そして、その座長にうまく乗る、ばーしーとのコンビネーション。
改めて「ただ面白いだけではない」という事を感じさせるステージングである。

ところで「A bog」はカリスマ歌劇団の音とはコレだ、という典型を上手く使った曲だが、
この曲は勿論、実は全ての楽曲で、今回さちのは衣装替えを行った。
わずか30分の持ち時間で4回のチェンジ。
それも出来るだけ時間稼ぎは使わないでの早変わりだ。
大丈夫かなあ…と思っていたらやらかした!
「Oh,Yeah!」のイントロが終わってもさちのがステージに出てこない!ああ、間に合わない!
…と思ったら、歌はちゃんとスタートした。さちのの使用しているマイクはワイヤレスだが、これをしっかりと持っていた。歌いながら控えから登場してきたのだ。
座長なかじもライブ終了後褒めていたが、そこでの冷静な対応に、さちのの成長を感じる事が出来る。
そしてライブは「hi!hi!hi!」で大団円を迎える。
バンドは5曲とは思えないほどの濃密な時間を提供した。

実は今回程、プレイヤー陣が肩に力の入った演奏をしていた事は無いのだが、
それもこのバンドなら今後クリアできるポイントだろう。
事実、そうやって彼等は着実にバンドとしてエンターテイナーとして、成長してきている。

5月から続いているカリスマ歌劇団のライブ。
8月にも新たなドラマが歌劇団を待ち受けている。
今回のライブで更に成長した彼等が次に見せるものは何なのか。興味はまだ尽きない。

★set list
1.スペア木
2.ナ・ニ・モ・ノ
3.A bog
4.Oh,Yeah!
5.hi!hi!hi!
posted by ユタカ at 02:02 | 東京 ☁ | Comment(8) | TrackBack(0) | 観客業報告書

2005年02月24日

REMINGS 渋谷クラブクアトロ 2005.2.21

こいつらと同世代じゃなくて良かった。
僕よりひと回り以上年下の、二十歳過ぎの若者四人組が繰り広げる"MAX CRAZY"な世界へようこそ。
彼等がやっているインターネットラジオ"MAX CRAZY"のかけ声でスタートした『Child's Heart』。

緊張と重圧。それを跳ね返そうとして彼等はやれるだけの事をやった。
この曲では観客との合唱を試みたが、この後随所でVo.まっきーの独特なフレーズが響く。
「集大成的な声を聞かせてくれ!」これは自分達が集大成的なステージなので、一緒になって、という事なのだが、この煽りの後、何とこのバンドは手拍子を「オモテ」で要求した!
明らかにロックバンド、の筈なのに。
音もロック、いでたちもロック。しかし、彼等がやっている事は歌謡曲のコンサートのそれだ。
この独特のズレ、が実は現時点での彼等の持ち味、という事になる。
「渋谷の中心から愛を叫べ!」というどこかで聞いたフレーズから『Believe in love』へ。
二十歳過ぎの若いバンドにテクニック云々は関係無い。勢いで押していく。
そして足りない所は、身体中を使って伝えようとする。

人に何かを頼まれて、はいそうですか、と聞いてくれる人は少ない。
特に、ライブに行って、その場でステージ上からのリクエストを受けて
とまどう客はいても、素直にその求めに応じようとする人は少ない。
しかし、彼等のリクエスト、要求は決して押し付けがましく無い。
だから、会場自体が彼等に手を貸してやろう、そういう雰囲気になっている。
これはスゴイ事だ。
長く活動していても、これが出来ない人は沢山いる。
彼等はその若さで、空気を掴む事が出来ている。一種の才能のようなものである。

『Still lovin' you』を熱演するREMINGS。G.の石黒はこの曲の前奏の時点で
既に汗をしたたらせながらのパフォーマンスを見せる。
彼の書く曲は非常に分かりやすい。難しい事をしようとしない。
それは伝えよう、という姿勢がなせる技だと僕は思うのだがどうだろう。

メンバー紹介が始まる。思えば、こういったステージ運びは妙に上手い。
変な表現だが、その音の入るタイミングがライブバンドっぽい。
演奏よりも、こういう練習をしているんじゃないか?という勘繰りを入れてしまいたくなる。
小心者なのだが、開き直りもある。そういうバンドだ。
Dr.のスギタタケシはいわゆる縁の下の力持ち。B.のshoは石黒、まっきーを暖かく見守る形で共にステージ上を転げ回る二人を支える側に回っている。
そのバランスが危うく、面白い。
そのまま『ピーチパラソル』へ。
石黒の作る曲は面白い事に耳に残るフレーズを作り出す事に注力されている。
そして、そのフレーズを使って客を煽るまっきー。そのコンビネーションは痛快ですらある。

この辺りで、まっきーは充分デキ上がってしまったようだ。
暴走するMCが冴え渡る。
このMCをいきなり聞かされて一度で理解しろというのは、実は土台無理だと思うのだが、
それを力技でなんとなく分かったような空気にしてしまった力は、これも才能の片鱗だろう。
「俺達が音楽をやっている理由。それは…国の為でもない。夢の為でもない。俺が一番に掲げたいのは"チーム愛"という事なんだ」
何でチーム愛になってしまうのか誰にも全く分からないのだが、それだけで押し切ってしまった!いつの間にか、まっきーはクアトロからドームにトリップしてしまったようだ。
それが彼のキャラクターであり、これが全開となった時点で彼等のライブは成功なのである。この勢いで『Let it be』をプレイ。
ここまで来ると、バンドにも余裕が出ている。

逆に言えば、全6曲のセットリストの5曲目でやっと軌道に乗った、という事なのだが、そこまでのてんやわんやぶりが全てバンドのキャラクターとして認知されている所や、それが本意、不本意に関わらず、全力でライブを勤め上げようというバンドの熱意だけで、そこまでの40分弱を彼等は突き進んできたのである。
普通にライブをやっていたら、もしかしたら役不足だったかも知れなかった。
しかし、ライブは成立していたのだから、彼等はズタボロで滑って転びながらも成し遂げたのだ。

その充実感をそっくりそのまま体現したかのようなラストナンバーの『セピア』。
この壮大なバラードを最後に持ってくる所にバンドの志しの高さを感じる事が出来る。
ここには、何のギミックも無い。持ち込まない。
最後の最後に真剣勝負を挑んできたその潔さは、絶対に明日を呼び寄せる。

正直、まだやるべき事は沢山ある筈、なのだが、
その状態でクラブクアトロでライブをやって、会場の協力を得て、成功に導いたREMINGS。
足りないものがあるバンド、余計なものが沢山あるバンド。
彼等は後者である。
そして、それは少なくとも…"足りないものは無いんだよ"という事実でもある。

削ぎ落として、削ぎ落としきった時、そこにバンドの未来系がある。
そして、客の"協力"では無い盛り上がりがやってくるに違いない。
でも今は、壁にぶつかったらそんな壁はたたき壊してしまえ。
前へ前へ!

★set list
1.Child's Heart
2.Believe in love
3.Still lovin' you
4.ピーチパラソル
5.Let it be
6.セピア
posted by ユタカ at 02:32 | 東京 ☀ | Comment(3) | TrackBack(0) | 観客業報告書

2005年02月13日

Tone Palette 恵比須GUILTY 2005.2.12

初めて書く報告書というのは、書こうと思えば書けるものなのだ。
これが2回目、3回目となると段々書きづらくなる。
逆にそれでも報告書が書けるようなライブを見せて貰えると、これは何とかしなきゃと
思ったりするものでして。

Tone Paletteは化けつつある。
一言で書くと、そういう事なのだが、短期間の内にバンドとしての形を見つけつつある、このスピードは努力の賜物以外の何者でもない。
限られた時間の中で目一杯、自分達のバンドの事を考えて、
全ての経験をフィードバックしようというその姿勢からこの成長は来ているのだろう。

『夢の彼方へ…』でスタートしたライブだが、実はこの曲だけでバンドの意識の変化が感じられる。
この曲は決して悪い曲ではない。むしろ個人的にはかなり好きなタイプの曲である。
にも関わらず、今までこの曲がライブの中でその価値と同程度のインパクトを残してきたかと言えばそれは残念ながら否、であった。
今日使ったテが正しいかどうかは別にして、あの有名な格闘家のかけ声を間奏に取り入れただけで、この曲の価値が上がったのは間違い無い。
曲を活かそうという姿勢が随所に見られるようになってきたのだ。
そのもっとも顕著だった曲がこの『夢の彼方へ…』だった。
今まであまり意識していなかったのだが、今日の音に限れば、かなり太い音で構成されていて、その迫力は会場の隅々まで充分の余力を持って届いている。
間髪入れず『道』と繋いで、その迫力を徹底して印象づける。
この曲のまことのベースはヤマ場のひとつだ。ギターとのコンビも以前より良いように感じるのは、手を加えたか。
打って変わって『最後の約束』で、「ド」スローなテンポへとシフトチェンジ。
このシフトチェンジが出来てしまう所にバンドとしての基礎体力の高さを感じる。
ひとつ間違えればヤマ場を作る事すら出来ず、それまでの2曲の勢いを殺してしまいかねない
流れなのだが、彼等はそれを意識しているのか無意識なのか、当然のようにやってのけた。
もうひとつ、たかしは更に歌が上手くなっている。
いや、今までも上手かったのだが、
それをプレイヤーに凌駕される場面が今まではあった。
今日は最後まで主導権を握り続けた。
そのスタミナも含めた総合力が上がったという事なのだ。
『最後の約束』はボーカルの歌だから、それが最も如実に出た。

このシリアスな側面と彼等がインターネットラジオを見せる側面は全く違う。
彼等のライブを見に来ているお客さんは、インターネットラジオのキャラクターも楽しみにしている。
今回は、MCでも彼等はヒントを掴んだ可能性が高い。
喋りが滑らかなのはたかしの方なのだが、このバンドの『MCマスター』はせきあきである。
この『MCマスター』という肩書きの扱いについて、彼等も意識はしてきていた筈。
それがラジオ効果もあっただろうか、バンド側でコントロール出来るようになってきている。
このMCタイムも含めて緩急をつけられるようになると、演奏技術に穴が少ないバンドなので強い。
それにしても、せきあき、少し悲しいお話が多い。どこかで良い事があるといいねえ。

『今日も…』で後半戦突入。実は曲自体の調子から言っても、この曲はどの曲からみても中間調。
この位置に持ってきたのは正解だっただろう。
そして『祭』。この曲はいまや、バンドがライブをやる時の「保険」として心に余裕を持てる一曲だ。
ここに来るまで、いろんな展開が考えられただろうが、
仮に最悪の状態でこの曲に入っても、
ここで挽回出来るはずだ、そう考える事が出来る曲、という事だ。
細かい事を言えば、今日は一番演奏が荒かったのがこの曲だったのだけれど、勢いでやってしまっても良い曲だけに、大勢に影響ナシ。
ちなみに「荒かった」というのは、バンドのアドレナリンが出過ぎた、ということ。
今日は手応えのある展開で来ていたので、コントロール出来る沸点を若干超えた所で演奏してしまったのが『祭』だったと言える。しかし、すぐに立て直して『DANCE!!』を演奏し切った所でも分かるように総じて今日の彼等は冷静にライブを務めあげたと見るのが正しいだろう。

正直、彼等程度の演奏レベルであれば、そこに胡座をかくような姿勢さえ無ければ、
乱暴な言い方だが、テクニックは必要無い。
『DANCE!!』でせきあきが見せる"背面弾き"のような技でも無い限りはね!
ドラムのCHIMUKENもガッチリサポートしてくれているしさ!
それ以外に、バンドとして詰めていかなければいけない所が沢山ある。
しかし、そのヒントになるような部分は今日は本当に沢山あった。
彼等がそれらのヒントを上手く拾い上げて更に次回以降のライブに活かしてくれれば…

「とんぱれ」の価値はもっと上がります。

★set list
1.夢の彼方へ…
2.道
3.最後の約束
4.今日も…
5.祭
6.DANCE!!
posted by ユタカ at 00:49 | 東京 ☁ | Comment(4) | TrackBack(0) | 観客業報告書

2005年02月07日

さちの&Theカリスマ歌劇団 新宿MARZ 2005.2.6

ライブスタイルを持っているバンドは強い。

いい音楽をやっている。
いや、やっていると思っているからライブをやる。
ところが、いい音楽をやっているからライブにお客さんが来るのか?

残念ながら、答えはノーである。

では、いい音楽だから次もまた、ライブに行こうと思うのか?

これも残念ながらイエスとは言いがたい。
特にメジャーではなく、インディペンデントの立場でライブをやる場合は。

さちの&Theカリスマ歌劇団。
あれやこれやの手を使い、それでも手段は選び抜いてライブをやるバンド。
音楽以外にもプレミアやオプションが沢山ついてくるライブをやるバンド。
今回は"意外性"と"定番"を上手く使い分けたライブを展開した。
冒頭のばーしーとなかじの家族芝居は、もう定番化しつつある。
ただ、その中で「ばーしー=昔はさちの」のカミングアウトをオチにするのではなく、
バレンタインデーをネタにして『スペア木』に持っていった所にひとひねり。

『スペア木』はライブの切込み隊長的なナンバーだが、このポジションはぴったりだな。
この曲の最後のさちのカズーだが、片手で持てるようになったんだなあ。
次の『シートベルト』は、間奏でのなかじとばーしーのダンスが完全に定着した。
いや、定着はしていたのだが、認知されたというのが正しいのか。

そう、今回のライブは基本線は昨年12月とそれほど変わった訳ではない。
ライブを構成する、ひとつひとつの要素が作り込まれてきている所が最大の変化だ。
まさにその方程式は、『バンド』ではなくて『歌劇団』なのである。
『ナ・ニ・モ・ノ』のイントロでのばーしーのソロ。これもそうだ。
このけだるさが、この曲のウリとして認知されているから、
最初から観客を持っていく事が出来る。
そして、そのけだるさは、どんどんエスカレートしているところがニクい。

そしてこのライブの最大の変化を観客に認知させる場面転換。
それが「楽屋にて」。
キャラクターを最も徹底して認知して貰わなければいけないメンバーがいる。
実は、それは"カリスマボーカルさちの"だった。
数回前のライブから彼女はいわゆる「姫キャラ」を演じている訳だが、これが徹底していなかった。
どこかで、成り切れていなかったのかも知れない。
次の曲である『Oh,Yeah!』に関して、前回も装着した"ウサギの耳"をつける事に関して
ばーしーとちょっとしたやりとりが展開される。
この楽屋ネタでの掛け合いにより、『ばーしーとさちの』の対立構図を明確にする事ができた。
その「お高い」キャラが確立された瞬間である。

メンバー紹介でもキャラクターが浸透している事が十分伺える。
特に今回はたかみつは"ギターと共にオーラを脱着出来る男"という
一部ではネタにされていた位のキャラが完全に会場に浸透していた。
待ってました!位の勢いで。
更に、事ある毎にギターを高く持ち上げるアクションは
次回以降への新しい展開を予感させる。
それはまきのっちも加入後2回目のライブにして、その奔放な存在感を大きく発揮したという点で同じ。
「隣の家の次男坊」とは言い得て妙だが、この男、今回は必要以上にクルクル回りやがった!
やぶれかぶれ寸前の荒技だろ。自分がくるくる回るなんて…
しかしこの「持ち上げ」と「回転」はライブとしてはプラスに働いていたのだから、
効果が上がった、という事だ。

今回はこれに加えて、振り付けが細かく決まってきていたり、
音の面でも構成に若干のアクセントをつけたり…ギターの引っぱり方や、ドラムのフレーズがそれだ。
すべてにおいて作り込む作業が目立ったと言える。
そして、それら全てに共通しているのは
「来場者に参加する余地を用意する」ということ。
その意味で今回のライブは高く評価出来る。

『Hi!Hi!Hi!〜1/48タイガーホースのテーマ』の流れは今日の時点で申し分無い。
特にタイガーホースでのさくらのドラムはこれ以上堂々と出来るか!という位の立派なものだった。

正直、音関係のトラブルに見舞われたライブでもあったが、それがライブ。
ライブ内容としては、これまでの最高点と見ていいだろう。
『ヨロシクテヨ〜!』が今日くらいハマって聞こえる日は無かった。

3ヶ月後の5月15日、歌劇団はどういう手で来るのだろうか。
こう思わせた時点で、今日のライブは効を奏したのである。

★set list
1.スペア木
2.シートベルト
3.ナ・ニ・モ・ノ
4.Oh,Yeah!
5.Hi!Hi!Hi!
6.48/1タイガーホースのテーマ
posted by ユタカ at 02:29 | 東京 ☀ | Comment(6) | TrackBack(0) | 観客業報告書

2005年01月11日

2004年観客業まとめ

正月もすっかり明けてしまいまして、
とても「仕事納め」という雰囲気でも無くなってしまいましたので「まとめ」てしまおう、
そういう事なのです。

まず見に行ったライブの本数ですが、157本で確定。
これは、同じイベント内でもアーティストが違えば1本とカウントしているのと、
あと記録に残らないライブ(初めて見た時にはお目当てではない、とか)もあるので
若干の誤差はあるものの、この数字で問題ないと思います。
ちなみに2003年は72本。
これは、記録をとった期間が違うというのが一番大きいのですが(2003年はおよそ8ヶ月)
そのペースを上回っているのは間違いなさそう。

それから見たアーティストの数ですが、これは67組。
2003年は22組だったから、ほぼ3倍となりました。
もちろん数の問題では無いのですが。
出来るだけ良いライブを見に行きたいと思っております、はい。

さて、その中でベストというか、印象に残っているライブを選ぶとなると…
上半期はこういう時、圧倒的に不利な訳ですが、その中でも記憶に残るライブは

1. 7fuzz proposal(原宿GABIGABI)
3.17ゆらりすたあ(渋谷PLUG)
4.23黄金の手(初台Doors)
ですかね。

「fuzz proposal」は報告書になりましたが、とにかくホームページの音源を
聴いて、一目ボレしたという。
バーレストランで展開されたあの独特な雰囲気のライブは、やはり記憶に残るライブ。
やはり一度、じっくりとライブハウスで聴いてみたいと思わせるバンド

「ゆらりすたあ」は結局この一本しか見ていなくて、もう一度見たいなと
思っているのですが、誤解を恐れずに簡単に書いてしまうと、あの「渋谷系」
と呼ばれたサウンドをもう一歩マニアックに掘り下げつつあるサウンドに
自由なボーカルが乗るという、聴いていて気持ちよいバンド。
でもまだまだ発展するだろう、というかもうしているのだと思うのだけど。
その末恐ろしさも含めて。

「黄金の手」は報告書にもしたライブですが、初ワンマンライブ。
初台Doorsが人の波で埋まったというライブですが、そこに至るまでの
ストリートでの地道な活動も含めて情熱を感じるライブでした。
ここもボーカルは自由にサウンドの上に乗って浮遊する感覚が、それでいて
全体ではどっしりとした重厚な印象が素晴らしかった。
です。

さて、下半期。
これは割とハッキリ決まっていたりして。やっぱり上半期の方が大変なんですよ。

8.22さちの&Theカリスマ歌劇団(新宿MARZ)
11.3Super Goooooood!!(渋谷クラブクアトロ)
11.5ザ・ワイセッツ(渋谷屋根裏)
これはどれも違う意味でスゴいライブだったかな。

「さちの&Theカリスマ歌劇団」2004年のライブの中で一番、
音とそれ以外の部分の比率がイーブンだったバンド。
そしてレコ発という条件が揃って、面白いだけでなく、感動も与えた、という
部分を評価したいと。

ええ、身びいきはしないスタンスなんですよ(笑)
3回報告書書きましたがね。コレはコレ、アレはアレです。
それでもこれは取り上げて良いと思いました。

「Super Goooooood!!」これはもう何も言う事はございません。
このバンドに関しては、5.29のLIVE INN ROSAも候補に入れていたのですが、
ハコの規模も含めて、そしてそのスケールの大きさでこちらにさせて頂きました。
ほんと、何でこれがインディーズなんだっての。おかしいやね、世の中。
と首をひねっている間に、今年ボーカルの高田エージ氏ソロデビュー。
見る人は見ている。

そしてこのわずか二日後の「ザ・ワイセッツ」
確かこのライブ前に関西遠征があって、戻ってきて二発目のライブ。
それまでもスゴいスゴいと思って見ていたのですが、ステージと観客の間にある
カベを音でぶち破る事に成功した、という点でこのライブは更にステップアップ
したのではないかと思ったので、このライブを。

ここに名前が出なかった人は別にスゴくなかった訳じゃないのですが、
「特に」印象に残ったライブ、という事で6本選んでみました。

なお、2004年一番僕が足を運んだのは
「モリモトナオユキ」の7回(ソロ、バンド合わせての回数)
次いで「小林和寿」「水木ノア&認知」の6回。
5回まで入れておこうかな。
5回は…「東京カラーTV.」「マユラム」「boabeeNock」でした。

今年はこの辺りは割を食う事があるかも知れません。
そうでないと、新しい人を見る事が出来なくなりますから。
それが証拠に2003年、ぶっちぎりの10回だった「ワタナベ」2004年は4回でした。
決して飽きたとか、そういう事ではないのです。

ただね、僕の身体はひとつなので。勘弁して下さい(笑)
今年はおそらく150という数字には及ばない数になると思います。
しかし、目標としては昨年以上の報告書を書く事が出来ればとも考えています。


世の中に「観客業」なる虚業アリ(笑)
今年も驀進するぞぉ!
posted by ユタカ at 14:06 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 観客業報告書

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。