2007年01月30日

MYST. 浅草クラウド 2007.1.14

最近、この分類の仕方が特にギモンだ。
メジャーとマイナー(インディー)の事である。
この角度の価値観が突出している印象を受ける。
音楽関係では、この二つの単語が時として誤解を生みやすい。

プロとアマチュア

のように。
メジャーである事とプロである事とはイコールではないし、
インディーとはアマチュアの事を指すのではない。
(かつて、そういう時代があった事は認める)
しかし、世間はどうもそういうモノサシで比較をしたがるのだ。

アマチュアとプロの境界線が分かりづらくなってきているのだろう。
アマチュアのレベルは本当に向上した。特に技術面において。
アマチュアトップレベルとプロ最下層レベルとを並べたら、見分けはつかないだろう。

ぐだぐだ長いマクラだが、MYST.はれっきとしたプロである。ここに認定する。
今更何言ってんだよ!と思った人、あなたの目に狂いは無い。いい仕事してますよ!



浅草クラウドは、いつも思うのだが意外と広いハコだ。
その広いスペース後方そして取り囲むような形で壁際にはイス席が設置されている。
ステージ前、つまりスペースの前方にはイスは無い。
客層の広さを誇るMYST.ならではの光景だ。
イス席の前にスタンディングのスペースがある、という事についてはどうなるのだろう?という素朴疑問もあったがすぐに氷解。
それは、スタンディングスペースの人も座っちゃったから。
見事に違う客層が共存出来ている。
お客さんを見ても、バンドの格というのは判断出来る。どんなに荒くれ者がパフォーマンスをすると言っても根本がしっかりしていれば、お客さんの質もアガるというもの。
騒ぐべき所は騒ぐ、締めるべき所は締める。ここ重要。

「夢をみる間に抱きしめて」は彼らのライブでは定番中の定番曲。
この曲を知っていればまずライブに参加するパスポートは手に入れたと言える。
そして、ライブが始まるまでこの曲を知らなかった人もここで覚えておくと、
必ずライブに"参加"する資格を手に出来る。色んな意味で重要な曲だ。
定番曲を一番最初に持ってくる事が出来る。
これは彼らのレパートリーが豊富だから出来ること。

そして口上。このバンドが和装しているひとつの根拠だ。
見た目だけでライブをやるのなら、このスタイルは個人的には推奨できない。
誤解を受け易いからだ。
イロモノ扱いで終わりなんて事は恐ろしいかな、現代では日常茶飯事だ。
この口上はMYST.スタイルを体現する重要な手段。
口上だけに時事ネタも取り上げ易い。「古い牛乳使ったケーキ」は流石。
こういう形の笑いはセンスだろう。チクっと刺すヤツね。

ボーカルの佳上が浅草の出。ここクラウドは彼の地元でもある。
そんなMCから「舞い降りる雪のように」
今回はステージ上にプレイヤーが多い。
ドラム、ギター、ベース、ボーカル、コーラスが2人。
この後ゲストのギターボーカル、パーカッションも入ったので、一番多い時には8名がライブパフォーマンスをしていたことになる。
ゲスト不在時にはこれに「からくり箱」のバックトラックが重なる。音の厚みは相当なモノだ。しかし実際にその音を耳にした人は、その厚みと共に感じるはずの重さを感じない事にまず驚くだろう。
これぞアレンジの妙でありMYST.が「造り込むタイプ」の職人集団である事が良く分かる。

今回彼らは3曲の新曲を公開した。当日は音源も発表。
そのどれもが今までのMYST.とは一線を画した出来となっている。
今までの制作手順を考えると、この新曲を手掛かりとして恐らく新しい方向性を見つけ出したのだろう。
3曲ある、というのはヒントは既に得ていると思う。
そしてヒントを得た、という事は今までの楽曲も微妙にマイナーチェンジをしていく機会も有る事だろう。
この日も演奏されていた「サムライ商売」のように。

さて、造り込むと書いたが、彼らバッキバキのミュージシャンなのは言うまでも無い。
そして、あまりに当たり前の事なのでついついMCのやり取りだとか、キャラクターだとか、そういう「ソレ以外」の所に目が行ってしまいがちなのだが、1曲だけ演奏されたカバー曲によって見事に「オレらプレイヤーだよ♪」というアピールに成功していた。
それがTHE DOOBIE BROTHERSの「Long Train Are Running」。
もちろん「からくり箱」は休憩中だ。
プレイヤーであること。それも数多くライブをしているからこそ出来ること。
イントロから数小節にして見事に転調してしまった(!)この曲は、僕にとってかなりのインパクト。
原曲は勿論転調しない。しかも自ら言わなかったら演出だったのではないか、というぐらい自然な対応。
メンバーのソロ回し、という展開は目新しいものではないのだが、逆にソコが僕みたいに年齢層の上の方を構成していた者にとってはライブのツボと呼ぶべきものだし、また若い層にとっては、こういう展開は新鮮だろう。
でもこのカバー、やっぱりイントロで勝負アリ。二ノ宮氏、オミゴトの巻であった。
MYST.を知らない方へ。このバンドにはエレキギターという楽器はコンセプト上ありません。
それでこの迫力ってなんだ!

この日、実はコーラス隊に「拍手」「手拍子」等のパネルを持たせて
客席を煽る"ヤラセ"を、公開で仕込むという演出もあった。いやあった筈だったのだがソコはマジメなコーラス隊、パネルを掲げるタイミングに一苦労。
ところが、そういうタイミングの良し悪しに関らず、手拍子は起き、拍手は沸いた。
良い意味で逆効果になった。ライブとは、結果オーライである。

このライブ、実際のところはワンマンライブという括りで見ても長時間にわたるものだった。150分にわたるライブとは、そうそうあるものではない。しかもライブハウスでだ。
普通、どこかで中だるみになってしまってもそれほどオカシイ現象だとは思わない。しかし、後半の曲の数々を見ていてもごく自然に入ってきて楽しむ事が出来る。
失礼な話かも知れないが、僕は普段からMYST.の音楽を聴きまくって生活している訳ではない。勿論音源を入手した直後とか、そういう特別な時は別だが、のべつ耳にして日々を送っていない。
それでも曲のイントロが始まれば自然に世界観に入り込むことが出来る。
いわゆるポピュラーミュージック。ポップスだ。
ロックと呼ばれたいかも知れないが、僕はポップスである事を素晴しいと思っている。
そしてライブ終盤ともなればお客さんは立ち上がるモノである。
何故なら立ち上がりたくなるからである。それが自然だからである。

皆立ってしまったら、後ろの人見えなくなるよな、とは僕の素朴な興味。
それが、立って踊りだすお客さんは居たが、それがちゃんと立ち位置を後ろの人の邪魔にならないようにズラして、それも一団となって踊っている!
ほんとに、あちこちのライブで色んなお客さんも見てきたけれど、この統率のとれたお客さんに脱帽。
繰り返すが、こういう所にアーティストの格は出るものだ。

下のセットリストにあるとおり、怒涛の21曲。そして、その21曲目は1曲目と同じ曲。
そうです、1曲目で覚えちゃった人は、みんな参加出来る曲。
会場全体が一丸となって盛り上がった「Die As Samurai」これ、いいタイトルだよね。

年間にライブを100本以上、というインディのミュージシャンはあまりいない。
しかしMYST.はライブを年間200本やる。尋常ではない数量。
しかも質を問われる。質を求めなければ次は無いのだ。
数量とクオリティのバランスをギリギリの所で保ち、しかもメジャーではない以上、生活の為に仕事もする。
しかも佳上の場合は税理士というこれまた尋常ではない業務。
本当にサムライなのだ。
その体力、知力の限りを尽くして…今回がワンマンライブ6回目。
1回やるのでも大変なワンマンを6回やる事で「育てて」きた。
明らかに動員数は増えている。そして満足度も。


これら全てを支えているのは、MYST.のサービス精神。
これなくして、プロと呼ぶべからず。
当たり前の事を、当たり前のようにやる。これが一番難しく、そして尊い。



サムライ達は、今日もどこかで戦い続けている。


☆Set List

1.夢をみる間に抱きしめて
2.D42
3.舞い降りる雪のように
4.30years boy
5.光風霽月
6.愛する人に愛されたくて
7.DELETE
8.Wish
9.Long Train Are Running
10.サムライ商売
11.Run4 Nothing
12.APDV
13.Last A Few Words
14.Entropy
15.惰性
16.Forget Me
17.Till The End
18.Ready Go !
19.愛よりも残酷
-encore-
20.そしていつの日か
21.夢を見る間に抱きしめて(Die As Samurai)
posted by ユタカ at 13:54 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 観客業報告書
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